ヒーロー科と結界師3 (ページ49)

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30話あの女とは？ページ49

「墨村、お前ヒーロー名どうするつもりだ？」

『あ』

放課後に呼び出されたと思えば、ヒーロー名のことと職場体験のことだった

「お前だけだぞ」

『え。職場体験先ですか？
夜行の方に行くって言いませんでした？』

「覚えてねェが、簡単に決めるな」

『いや、職場体験行くには家の許可が…』

「はあ？」

正統継承者だし、烏森の地を離れるわけにはいかない

1週間の職場体験なんて、以ての外だ

「お前の家、複雑なのか？」

『あ、いや…そう言うんじゃなくて…ちょっと、家業のことを任せられてて…で、離れるわけにはいかなくて…』

「…なるほどな。長男の正守さんはどうした？」

『兄貴は…その、継げなくて…』

「なんでだ？普通は長男が…」

『………“普通”なら、なんですけどね』

「？」

『まぁ、ヒーロー名は名前で。職場体験は行けないと思います』

「…まぁ、事情は知らねぇけど無理はするなよ」

『はい、ありがとうございました』

職場体験っていつからだっけ？

「え？明後日からだよ？」

『あ、意外に早かっ…………ってことは、明後日からクソ兄貴の顔を1週間も見なきゃなんねぇのか!!?』

「守香ちゃん、どないしたん？」

「現実と直面して受け入れ切れてないみたい…」

やべぇ…限くんのことや烏森を狙う“奴ら”って言うのに気を取られてて、すっかり抜けてた…

「そんなにお兄さん嫌いなん？」

『…………………ああ、嫌いだね』

「なんの間だ？」

「じゃあ、あの志々尾って言う男の子は？」

『…わかんない子って言うより、腹が立ったりするね』

「え、どういうこと？」

父さんが作ってくれたおかずに、お箸をブッ刺した

『何かって言うと、私たち2人を兄貴と比べてくる』

「正守さんと？」

『なぁにが、最高の術者だ！確かに兄貴は上だ!!
だが、あのオヤジ臭の奴のどこがいうっていうんだ!!?
ひげか!? ひげなのか!!?』

「落ち着くんだ、墨村くん!!!」

なんで兄貴がモテるんだ!!?

『くっそ～～～～～～～～!!
次会ったら滅してやるぅ～～～～～～～～!!!』

「ダメだからね!!?」

(…何やってるんだ、あいつ)