29話 黒猫 ページ47
胡散臭いなと言われて、抗議すれば合理的じゃないなと言われる
うるせぇよ、と言わずに目だけで訴える
ゾクッ
ヒュッ
ガッ
先生の後ろから手を伸ばした限くんの手を掴み、引っ張った
『なんなんだお前はいきなり…』
「あれは霊だろう」
『だからって即座に狩ろうとしないで!!』
「問題ない…俺なら誰の目にも映らぬスピードで殺れる…」
『お前の物騒な思考回路に問題が山積みだよ!!』
「墨村ーー。よくわからんが…質問があるなら放課後にでも職員室に来い」
『あ、はい』
歩いて行ってしまう相澤先生を、限くんは「わからんな」と言う
「あれは言わば火種だろう。しかも人に憑いてる。放っておけば人の方にも影響が出るぞ」
『だからって何も消さなくてもいいって言ってるの。どうにか引き剥がしてみれば済む
とにかくここは私に任せて。限くんだってそんなに真面目に仕事がしたいわけじゃないんでしょ』
「フン…モタモタしてたら俺が狩るぞ」
『私、一応年上なんだけど?』
「感じねぇな」
腹立つな、いちいち
それからお昼休みにもゼリーを食べている相澤先生の肩に乗る猫を見ては、手が止まり、見かけるたびにどうするか考え悩む
ー放課後ー
「まさか本当にくるとはな…。で、なんだ。やっぱ猫がどうとか言うのか?」
『ハイ。あのですね…実は私が興味持っているのは…猫は猫でも…黒猫なんです!』
「ほう!大丈夫か、お前」
『だから相談してるんですよ』
「確かに黒猫は不吉な例えにされやすいが…地域によっちゃ吉兆だしな…。ああそうだ、この学校にも黒猫出入りしてたんだ」
『お』
「愛想のない猫だったが…見かけるたびに毛並みとか色々褒めてやったら次第になついたな」
『なんですか、その褒めるって』
「口説きの基本だ。よく覚えとけ」
(この人、たまにイメージと真逆のこと言うからビビるんだよな…)
「そういえば最近見てないな…あの猫…。どうしてんだろうな」
そう言う相澤先生の肩に乗る猫は、静かに外を見つめていた
日が暮れる頃、限くんと相澤先生をつけた
「もう日が暮れるぞ。あの教師が帰るまで待つつもりか」
木の影から見守るようにして先生を見ている
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2019年10月14日 17時