ヒーロー科と結界師2 (ページ11)

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木から落とされた時音ちゃんを抱き抱え、木の根元に下ろした

「バカねえ。鬼と言葉なしでも通じ合えるのが、鬼使いなのよ」

ﾎﾞﾝｯ

「あんたもういい加減にしろ」

『良守…』

「殺されたいのか？早く出てけよ！
ここはあんたの手に負える場所じゃねーんだ!!」

「……。あんたたちには…絶対にわからないわね…。ヨキ！いきなさい!!」

「うん！」

春日さんは鬼に指示を出した

「ヨキ！この烏森の地で、あなたはもっと強くなれる!!」

『良守、避けて!!』

「うわっ!?」

尻尾が増えた!?

「わかった」

ニョッと出てきた無数の尻尾

「なっ!?」

『良守!!』

「うわああああ!!」

進化が急激すぎる！

大きな体のせいなのか、それとも

「わかったぞ、強いもの増やして、弱いもの減らす
でもバランスも大事…。たくさんありすぎても邪魔だ
ちょうどいい数…。この体は大きすぎる…速く動けない…強く…速く…無駄をなくす…ムダ…」

「すごい！すごいわ、ヨキ!!」

「そうか…。お前、もう、いらない」

「え？」

ﾊﾟｷｰﾝ

鬼に尻尾で落とされた春日さんを、良守が抱きとめた

「ああなるともう別の生き物だ…。もうあんたの声も届かない…」

メキメキと力をつけていく鬼

今のうちなら、まだ隙がある

「時音、この人頼む！」

「わかった」

『良守、行こう』

「あぁ！」

ｶﾞｯ

『え？』

「邪魔…しないで…。あの子の邪魔をしないで…！」

「……」

『悪いけど…あれをあのまま放っとくわけにはいかない
でも別に殺すつもりはないよ。あの鬼が、あんたの大事なものだって言うならさ』

掴まれた手が緩むと、私と良守は鬼に向かっていく

「バカでしょ？でもあいつら、あれで本気なんですよ」

「…フン、あんたらみたいなガキに同情されるなんてまっぴらよ」

「同情なんてしてません。あたしは…あの鬼、始末した方がいいと思ってます
ただ…あいつらはああ言う奴なんですよ」