14-5 ページ25
「それより、海風はどこに行ったんだ？」
「さぁな…。結果をわかって、出て行ったんだろう」
「…まったく…、変わらない奴だな」
「あぁ…」
星章学園のベンチにいたであろう、あの黒いパーカーの影を、2人は思い出しながら微笑んだ
海風は自販機からオレンジジュースを買うと、その場で蓋をとって口の中に流し込んだ
「！」
角を曲がってきたのは、灰崎だ
『あぁ、試合おめでとう』
「ふん…」
『いい試合だったな』
と、また自販機に向き直ってスポーツドリンクのボタンを押す
ガコンッと落ちてきたスポーツドリンクを、取り出し口から取り出す
「お前に言われたって、嬉しくもなんとも…」
『灰崎』
「あ？」
ポイッと投げられたスポーツドリンクを、片手で受け取ると「おい、なんのつもりだ」と言われる
『勝利のご褒美だ。気にせず飲んでくれ』
手に持っているオレンジジュースを飲み干すと、ゴミ箱に放り投げる
灰崎はスポーツドリンクを見つめた後、パキッとキャップを開けて口の中に流し込んだ
『灰崎』
「…あ？」
『復讐のためにサッカーをしているのか？』
海風がそう聞くと、「またかよ…」と呟いた
「お前には関係ない」
『……言っておくが、サッカーは復讐の道具でもなんでもないぞ』
「うるせえな!!」
キャップが閉められたスポーツドリンクを投げた灰崎だが、海風はそれを簡単にキャッチした
「どんな理由でサッカーをしてようと、俺は強い
重要なのはそれだけだ」
『……お前は、何を背負っている？』
「？」
『…お前がそう決めたのなら私は止めない
だが、何かあるなら話せ』
「あんたに言う必要はない。だいたい、何もねえよ」
『…わからないことばかりだよ、お前は
病室のあの女の子のことも、アレスの天秤のことも…』
「…………」
スポーツドリンクを灰崎の胸に優しく押し付けると、『ただひとつだけ』と言う
『今日のお前は、たしかにサッカーを楽しんでいたな』
「…………」
そう言われた灰崎は、黙ってスポーツドリンクを受け取った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2019年9月18日 0時
