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「負けただろ?完全によ」
「負けたけど、まだここから巻き返すさ。俺たちは全国に行くんだ」
『…(フッ』
「ふん、あの程度の実力で行けるかよ」
「行けるさ!どんな特訓をしても食い下がってみせる」
「へいへい」
バカにされ続けた明日人は、ムッとした
『灰崎は本当にいいのか?
こんなところで遊んで、お前スタメンに選ばれるかもしれないだろう?
試合前の調整。体に無理のない程度にしたらどうだ?
ゲームセンターに来るぐらいなら、見るだけでもいいだろう』
「明日の試合には出ねえよ」
「え、なんで?」
「出るかどうかは俺自身が決める。明日はのらねえ
だから試合には出ない、以上」
『まぁ、無理やり出されるのがオチだが』
なんと言っても、星章学園には鬼道がいる
目をかけている彼のことだ、無理やりにでも出そうとするだろう
めんどくさそうに言いながら、灰崎はボタンを操作した
「星章学園でそんな勝手が許されるの?」
「俺クラスになるとな」
クレーンのアームがクマのぬいぐるみを捕まえ、持ち上げる
「せっかくの試合でしょ!
なんで出ないんだよ!」
「うっせぇなあ、俺の勝手だろうがよ」
『やめろ、稲森』
1歩前に出た明日人を、片腕で制すると海風は灰崎に向き直る
『天狗になっている灰崎に1つだけ、忠告しておこう』
「は?」
カタンッとぬいぐるみが2つ出てきた
灰崎は取り出し口からぬいぐるみを取り出すと、海風を見つめながら眉を寄せた
『お前が思っている以上に、木戸川は強いぞ
そして、アイツがいるからな…。お前のその長く伸びた天狗の鼻が折られるのを、間近で見てやろう』
「フン、勝手にしろ」
ポイッと投げられたクマのぬいぐるみを受け取ると、『お、おい』と灰崎に声をかける
「やる。2つもいらねえ」
『…ガラじゃないんだが』
クマのぬいぐるみを抱えていると、灰崎は「お似合いだぜ、女神サマ」と面白そうに笑う
「じゃあな」
と、灰崎はゲーセンを出た
『全く…』
「それより、海風さん。用事大丈夫なんですか?」
『え?』
ポケットに入れていたスマホを取り出し、電源をつけて時計を見れば約束の時間まであと数分を切っていた
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2019年9月18日 0時