雷門の女神2 (ページ20)

今日:3 hit、昨日:20 hit、合計:44,233 hit

13-5 ページ20

「なに……!?」

『いいか、ここはフットボールフロンティア予選大会だ
お前個人のプレイなど、私は心底興味がない』

「……!?」

『私が興味があるのは、このチーム全員のチームプレイだ
だが、それを乱しているお前に本当のサッカーはわからない』

「ふざけんじゃねぇぞ……」

立ち上がった灰崎は、海風の服を掴んだ

「勝ちしか体験してこなかった貴様に、そんなこと言われる筋合いはねえんだよ!!!」

『勝ち？
ふざけたことをぬかすな…。この世に、完璧な人間など存在するものか

私だって、負けの１つや２つ、たくさん経験してきた』

帝国との練習試合、いろんなことを体験してきた

『甘っちょろい考えなど捨てろ。
なぜこうしてキーパーにされたのか、なぜ鬼道がお前をフォワードに戻さないのか…

そのお固い頭で考えるんだな』

イラついた灰崎にそう返し、掴まれた手を叩いてグローブを押し付ける

『なぜこうして言われるのか、なぜこうしてポジションを変更されているのか、よく考えるんだ』

「…………」

『お前は、ゴールの前に立っていてもフォワードの気分でいる気か？』

「………………？」

そして、後半戦が始まった

星章学園は後半も防戦一方となった

「鬼道！
これ以上てめぇのサッカーごっこに付き合ってられっかよ!!」

我慢の限界を超えた灰崎が、ペナルティーエリアを飛び出した

武方勝を跳ね飛ばしてボールを奪い、そのままドリブルで前進した

「なにしてる、灰崎!!」

水神谷の制止も聞かず突き進む

それを見て、折緒がサポートに入った

「灰崎、こっちにボールを渡せ!!」

「うるせえ！雑魚は引っ込んでろ!!
見せてやるよ、俺1人でも勝てるってことをな!!」

灰崎は檻を逃げ出した猛獣そのものだ

海風は、それを見て『チッ』と小さな舌打ちをした

しかし、パスが眼中にない灰崎は簡単に進路を狭められ、タッチライン際へ追い込まれる

気づくとサイドバックの西垣に間合いを詰められていた

「スピニングカット!!」

西垣は空中で連続回し蹴りを繰り返し、その衝撃波で灰崎を吹き飛ばした