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離れた場所で、鬼道は豪炎寺のメッセージを感じ取った
「さすがだな、豪炎寺。木戸川清修の仕上がりがこれまでとは別次元だ」
「まずいです、鬼道さん。奴らはデータより数段上のチーム力を持っているようです」
「あぁ、そうだな」
鬼道は、いつものように片頬をあげて笑う
「心配するな。どんなに苦戦を強いられようと、最後に勝つのは俺たちだ」
ゴーグルの奥に隠れた両目は、「最高のサッカー」で勝つことだけを見据えていた
一方の灰崎は、屈辱に耐えかねていた
「俺はこんなところでウダウダやってる暇はねえんだよ」
キーパーグローブで紙面を叩き、鬼の形相で叫んだ
「鬼道ぉおおおおお!!!」
そんな灰崎を見て、鋭く目を光らせる海風は、『これは大変だな』と小さく呟いた
星章学園は反撃に転じた
ピッチ中央やや右で、ミッドフィルダー鬼道がボールを呼び込む
鬼道はパスを受けると同時にゴール方向へ加速した
木戸川清修は、フォワードの豪炎寺が下がってこれに対応
左から体を寄せ、鬼道の胸の前に自分の右肩をねじ込む
すかさず鬼道が、ボールを隠すように右へとターン
豪炎寺の背中を回って再び前に出ようとするが、豪炎寺も半回転して正面を塞ぐ
2人は至近距離で向かい合う格好になった
鬼道は左の口角をかすかにあげて笑った
「さすがだな、豪炎寺」
「俺一人の力じゃない。チーム全員が連携した力だ」
鬼道が重心を落として右にグッと踏み込む
負けじと豪炎寺も隙のない体勢で半歩動く
鬼道は抜くのをやめ、また向かい合った
一瞬の攻防ながら、両者の心技体全てがハイレベルで激突している
観客たちは固唾を飲んで2人とその間にある空間を見つめていた
『これは…』
フィールド全体に目を通した海風は、面白いと言った表情でフィールドを見つめた
鬼道が動く
右足インサイドにボールを引っ掛け、体の左側に大きくステップする
豪炎寺が寄せる、と鬼道は左に持ち替えて右前方へ走り出す
1人ワンツーだ
豪炎寺の反応が一瞬遅れた
鬼道の前に視界が広がった
遠くを見た
右に膨らむように動き出した折緒へ、強いパスを送る
絶妙、いや、パスの通り道に木戸川清修のディフェンダー西垣が滑り込み、ボールを奪った
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2019年9月18日 0時
