64-3 ページ39
「どうなんだ？」
布団から出ることなく、ジッとするセレナに問いかけるがなんの反応もない
「セレナ」
『(ﾋﾟｸｯ』
「黙っていられるとおれもどうすればいいかわからない
無理にとは言わん。今すぐとも言わん
だが、事情の1つくらい話してくれないか？」
血も繋がっていなければ本当の兄妹でもない
だが、おれはお前を妹のように思っている
「お前の力に…なりたいんだ」
ベッドに腰掛け、布団の上からセレナの頭を撫でる
モソモソと動く布団から、潤んだ瞳をしながら起き上がるセレナ
「……話してくれるのか？」
『……(ｺｸｯ』
小さく頷いたセレナの隣に座る
『プロミナル島を追われた後、小舟に乗って漂流してた
真っ赤に染み込んだ服をボーッと見ながら…
髪も手も足も…全部が真っ赤で、現実を受け入れるのが怖くて…何も考えずに船を進めてた…
親もいない、兄弟もいない、何もかも失った私に、私を拾ってくれた人は沢山くれた
親も、家族も、兄弟も、親友も…愛も』
「……」
天井を見上げながらそう嬉しそうに話すセレナに、おれはジッと見つめた
『盃を交わして、私が失った全てのものを、みんなはまた全てのものを与えてくれた…。
とっても幸せだった…、凄く毎日がキラキラしてて、どんなことにも負けることがないと思ってた…
例え、私たちがバラバラになっても心では繋がってる、何をやっても絆は切れない。そう、約束したの』
キュッと布団を握りしめるセレナ
『なのに…7年待った…。7年待って、会えた
ずっと待ってて欲しいって言われたの…、どんなに長くなっても必ず待つって私決めたから、ずっと待ってた…………待ってたんだ』
ﾎﾟﾀｯ
「！」
『バカだよね…。7年前の約束なんて…無効だもんね』
眉を下げ、悲しげな顔で涙を流しながら笑っているセレナに、おれはドクンッと大きく心臓が波打った
「セレナ…」
『泣かないって決めて、強くなるって決めた…。
もう、失いたくないって決めたから、私はどんな人よりも強くならなきゃいけない
大切な人たち全員を守れるように…』
涙をすくい、セレナは強い眼差しを向けてくる
幼い頃にあった、辛い過去
今のセレナは、強くなることだけを見ている
本当の強さは、そうじゃない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷぅ(プロフ) - ヒロインちゃんやっと任務中にだけどトラ君と再会できましたね、めっちゃ感動的な再会でした｡(°´Д⊂ヽﾋﾞｪｪｪｴｴ (2019年7月7日 12時) (
レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
サッカーバカ(プロフ) - ぷぅさん» ヒロインの辛さは必ず報われると信じて書いております。どんなことがあっても、彼女なら乗り越えられます、だって今までだって辛いことを乗り越えられてきたから！！！！ (2019年7月7日 7時) (レス) id: 7487ed3f06 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - まさか2人が朝までサボの部屋で寝てたなんて(゜ロ゜)マーナに触れてたそんな手で純粋な心を持ってるヒロインちゃんに触れないで(о｀Д´)＝⊃)`з)また暴言失礼しました(T_T) (2019年7月7日 2時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - キャー、サボが記憶を取り戻したらシエルがサボを血祭りにしてやるって思ってるなんて恐ろしい ﾋｨｨｨｨｨ(ﾟﾛﾟ;ﾉ)ﾉ でも私もサボが記憶取り戻したら「記憶取り戻すの遅いんだよ(о｀Д´)＝⊃ωΦ）」って殴りたい(○｀ε´○)プンプン!! (2019年7月7日 0時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - ヒロインちゃんのローの呼び方がトラ君だなんて可愛い呼び方(笑)( ´艸｀)大人になって再会した際にはその時もトラ君って呼ぶのかな？その時はローはヒロインちゃんに「ガキじゃないんだからトラ君じゃなくてローって呼べ」って怒られそう(笑)(´∀｀*)ｳﾌﾌ (2019年7月6日 21時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2019年6月17日 9時
