元殺し屋はヒーローになる20 (ページ45)

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「あいつらの目、空っぽなんだ…なんにもないんだよ…空っぽの真っ暗な部屋を覗いてるみたいな感じがするんだ
あいつらみんな、同じ目をしてるんだ。そんでおんなじことを言うんだ。俺の方が誘ったんだって
いつか後悔させてやる…」

「…そっか」

「…今、俺ヒーローの前で殺人予告したんだけどな」

「えっ、そうなの？」

「大丈夫かよ…」

はあ、と大きなため息をつかれた僕はアメリカ人の本音と冗談がよくわからなかった
だとしても、彼がどうして僕に…初対面の人間に自分のことを話してくれるのか不思議で仕方なかった

「ねぇ、どうしてキミは僕に自分のことを教えてくれるの？」

「………………青子が信頼してる奴だから」

「！」

「初めて出会った時、俺ホテルに連れ込まれてヤラれそうになった時だったんだ。車に押し込められそうになった時、青子が現れた
俺の肩を組んで話を合わせろって。俺の手を引いてビュンビュン走って走って…俺を助けてくれた、見返りを要求してこなかった奴は初めてだったんだ

俺を助けてくれた奴は、最後には必ず見返りを要求した。セックスとかな。けど、青子は違ったんだ
金もいらない、俺が誘ったのにあいつ、飯に行こうって言ったんだぜ？」

「………青子さんは、そういう人だから
困ってる人を見ると、自分の力を最大限に使って救けようとするんだよ」

僕は今まで、彼女のそう言った姿をたくさん見てきた
I・アイランドでも、那歩島でも、そして…これまでのことでも…彼女は最大限の自分の力を使って誰かを助けようとしていた

その全てが、誰かの笑顔のためだった

「初めてだったんだ…こいつを信じてみてもいいかもしれないって。必要以上に俺に近寄らず、それでいてすごくフレンドリーにしてくれて…付かず離れずの関係で、俺が嫌なことは絶対にしなかった…
俺が嫌な目に遭いそうになったら必ず助けてくれた…抱きしめて安心させてくれた…
あったかかった、抱きしめられた時…すごく安心したんだ…優しさや温かさが伝わってきて、とても幸せな気持ちになった」

「……………」

「デクも、そういうことあったのか？」

「…僕の場合は、感謝の気持ちが大きいかな」

「どういうこと？」

アッシュくんは僕の言葉に疑問を抱き素直に聞き返してきた。僕は、本当に人に恵まれたんだ

「僕は、青子さんと初めて会った時…心を救われたんだ」