元殺し屋はヒーローになる20 (ページ40)

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「!?」

「おいおい…なんて言うつもりだよ…」

ケースを掲げて警察に駆け込もうと提案した彼にアッシュがまたさらに呆れたため息を吐きながら突っ込むと、彼は完全に正気を失い汗を流して悪巧みをするような顔で叫ぶ

「ケースが欲しければ、100万ユール持ってこーい！ってな！」

「それ本当の犯罪だよ!! ヤケを起こしちゃだめだよ!!?」

『現実逃避しても、現状は変わらないよ』

緑谷と私が言うと彼はその場にへなへなと座り込んだ

「なあ、やっぱケース渡そうぜ。命までは取られないって…考えすぎだって」

「………そうだと、どれだけ嬉しいだろうな」

『アッシュ…』

「俺はこの世の中の人間がどれほど腐ってるのかよく知ってる。自分の至福を肥やすためなら、自分よりも弱い奴らを食い物にするぐらいの奴らだ
敵もそいつらも、ホワイトハウスもクソ喰らえだ。秘密を知ろうが知らなかろうが、奴らは必ず俺たちの命を狙う。死んだと言う確認が取れるまで、しつこくな」

『………………』

すがるような態度をとった彼にアッシュは自分の経験談を交えながら彼を見据えてはっきりというと、その現実味のある言葉に彼はさらに真っ青になる
こちらとしては、申し訳ない。というか、この子が運び屋しなきゃこんなことにはならなかったと思う

「青子さん…」

『………このケースが何かの犯罪に繋がっているのなら、簡単に渡すわけにはいかない』

「…だね」

「あんたらの正義感に俺を巻き込むなよ！」

「……………」

彼が立ち上がり私たちにそう吐き捨てると、アッシュがピクリと眉を動かした
そんなアッシュは「まだわからないのか？」と片方の頬を持ち上げて皮肉げにしている。あーあ、皮肉屋が発動したよ…

「俺たち全員、もう巻き込まれてる。タチの悪いマフィアじゃない。本物の敵に命を狙われたんだ
なんでこんなことになったのか、この2人のヒーローすらわからない今、むやみに動くのは危険だ」

「僕もそう思うよ。今までのことを考えたらどう考えても巻き込まれてる…だとすると、これからの行動について考えていくしかない(ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ」

『おーーーい、緑谷〜？』

緑谷の十八番芸であるブツブツが発揮されたのにアッシュがビクリと体を揺らしてまじまじと緑谷を見ている
こちらとしては、緑谷が冷静でいてくれるのは嬉しいがこうなると納得できるまでか、最善策や案が出てくるまで止まらないんだよな…