元殺し屋はヒーローになる20 (ページ27)

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オセオンの地下鉄は日本と同じだから、どちらかに乗り込めば次の駅までは止まることがない
ということは…

『緑谷！どっちの路線に乗ったスマホで教えて！私が先回りする！』

「わかった！」

地下鉄の中に入っていく緑谷を見た後、次に向かうべき地下鉄の入り口の方向を確認する
100メートル先の方に等間隔である地下鉄の入り口を一瞥し、どちらにでもいけるように力を込める

すぐにスマホがバイブすると、《2番線の北方面！》とだけの文字があった
十分すぎる情報に私はすぐに北方面に向かい、地下鉄の階段を駆け降り、ヒーロー免許を見せて地下鉄のホームに駆け込んだ

電車はまだ来ていないみたいで、待ち伏せしていると駅に電車がやってきた
…なぜかガラスに張り付いている緑谷がいたけど、それよりも今はケースの中身である宝石を回収することだ

電車から降りてきた少年は、私を見つけると諦めたように「なんで追いかけてくるんだよ？」と聞いてくる
私は彼に『どうして逃げたの？』と顔を近づけると、プイと顔を背けられた

「仕事で急いでたんだよ」

「なんの仕事？」

今度は緑谷が聞き、彼は張り付けたような笑みを浮かべてわざとらしくスーツケースをアピールした

「商談だよ、商談。こう見えてもやり手の営業マンなんだよ。仕事の邪魔しないでくれるかな？」

『どこの会社と商談？』

「へっ？」

『言えるでしょ？その証拠か会社の電話番号、相手先の連絡先教えてくれたら確認取れる』

「えーと…えーとだな」

『答えられないの？』

「っ…」

確信を持ったように目を鋭くさせれば、彼はグッと押し黙った
そして私をじっと見ている。そんな彼に顔を近づけ、鼻先がくっつくほどの距離で『答えられないの？』と聞けば、「だ、だから…ホントに」とまだシラをきる

『…じゃあ、ケースの中身を見せてくれる？本当にキミが営業マンなら書類とか入ってるでしょ？』

「……いくらくれる？」

「へ？」

『………』

営業マンはそんなこと言わないんだけど…
それに、拒否するってことはやましいことがあるということでもある

「見たいなら金払うの、当然だろ」

「中身を確かめるだけだから」

ケースに手を伸ばそうとすると、その手首を掴まれ逆に顔を近づけられた
灰色の瞳が私を捉え、負けじと見つめると彼は「…あんた、この国のヒーローじゃないよな？」と言う