元殺し屋はヒーローになる20 (ページ22)

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青子side

ブーブーとスマホがバイブしているのに気づき、ウエストポーチを一瞥した後、逃げている敵に視線を戻す
少しスピードを上げて、壁に手をかけ分解と修復の超スピードを敵に見舞う

進行方向の邪魔をしてやると、「んなもん、当たるわけ」と私に振り返って言っているのに『あぁ、そうだね』と笑いながらその場を飛び上がると、私の後ろにいた焦凍が「ありがとう、青子」と焦凍がお礼を言うのと同時に敵が顔面を氷結にぶつけた

「手間取っちまった…」

『ふーっ…』

気絶した敵を見下ろした後、ポーチからスマホを取り出して画面を見ると「爆豪かっちゃん」と表示されていた
眉を寄せながら応答ボタンを押して『爆豪？』と声をかける

『そっちの敵どうした？』

《ノした！ンなことより、てめェ》

『？』

爆豪かっちゃんからの報告に一件落着したと思っていると、何か別の問題が起きたのか爆豪かっちゃんの声色が少し怒っているようで焦ってもいた
なんだろうかと聞いてみようと口を開いた時、「轟くん！青子さん！」と緑谷が後ろから追いかけてきた

『緑谷、お疲れ様…』

「緑谷！青子！」

『な、なに？焦凍』

血相を変えた焦凍が焦りながら「ケースがねえ！」と叫ぶ
私と緑谷はハッとして辺りを見回すと、焦凍の言う通りにケースがなかった

「投げ捨てた!?」

『そんな素振り…どこにも…』

そういえば、こいつら…いつものところでって言ってたな…。どういう意味だ？
スマホから聞こえる爆豪かっちゃんの声を聞き流していると「仲間がいる！」と緑谷が叫び、路地の中を向かっていく

『緑谷！私も行く!! 爆豪、とにかく話はあとだ！宝石取り返してから折り返す!!』

《あ、おい！ちょっと待て!! 話ってのはてめェの…！》

プツンと電話を切ってスマホをポケットの中に仕舞い込み、ケースを持っている男の子の後を追いかける緑谷の後を追いかける

『緑谷！』

「青子さん…！」

『ケースは？』

「見失った…！」

路地から大通りに出て見失ってしまったらしい
人も車も多すぎる。東京の渋谷といい勝負で目を皿にして探していると、遠くの方から車のクラクションが聞こえてきた

ケースを持った男の子だ

「いた！」

『見つけた！』

赤信号の道路を横断し、向こう側の路地へ入っていく