元殺し屋はヒーローになる20 (ページ13)

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多数の被害者を出したガスによるテロは、世界に衝撃を与えた

事件からまもなく犯行声明を出したヒューマライズは、世界25箇所に施設を有している大きな団体で、その団員は世界中にいる

ファンシーズを筆頭にヒューマライズの施設をひとつひとつ叩き潰していたこともあったが、降って湧いてくるウジ虫のようで仕事は終わりを見せなかった

そんなヒューマライズに対し、無差別テロの悲劇を繰り返してはならないと、アメリカのニューヨークに統括司令部を設置し、世界規模の作戦が行われることになった

そのヒューマライズの本部があるオセオン国、つまり私たちが向かった国は大西洋に面する島国
島国といっても、ひとつの島をクレイド国と二分している

そんなオセオン国の夜空を飛行する軍用輸送ヘリの中には、日本から派遣されたエンデヴァーとバーニン、オセオンのヒーローであるクレアとサイドキック、そして

『ふぁっ…』

「青子さん、眠いの？」

『飛行機乗ってる時は寝ることできなかったからさ…移動中寝ようと思ってたら、このザマだよ』

「ハハハ…」

「ハッ、たるんでんだよ」

『うっさいなぁ』

大きなあくびを噛み締めながら、インターン中の私、緑谷、爆豪、焦凍が軍用ヘリにいた
私はスペシャルスーツ、ステルススーツの襟元に顔を埋めた

鼻先まで隠してくれるこのスーツはこれからも代用していこうかな…
薄く目を開けていると、ヘリ内のモニターに今回の作戦の概要を示した映像と、司令部長官の声が流れていた

《先日の無差別テロの犯行声明を出したのは、“ヒューマライズ”
人類救済を標榜(ひょうぼう)とする指導者、フレクト・ターンによって設立された思想団体である
テロに使用された装置は個性因子誘発物質イディオ・トリガーを強化したものだと推測される
以後、この装置を“トリガー・ボム”と呼称する》

(そのまんまかい)

声に出さずにツッコミ、モニターを横目で見ながらふぅ…と再び襟元に顔を埋める

《我々、選抜ヒーロー・チームの任務は世界25箇所にあるヒューマライズの施設を一斉捜索
団員たちを拘束したのち、一刻も早く保管されている“トリガー・ボム”を確実に回収することである》

長官の声をよそに、私は今回の作戦の世界25箇所を思い出した