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「うるせえ!泣いてねーよ!」
「泣き言も言った」
「言ってねーよ!! なんだよ!お前昨日先に帰っちゃったくせに!」
「あら、ヘタレのあんたのために獲物を譲ってやったのよ?」
「………」
『口が達者だな…』
彼女は雪村時音、小学校5年生の11歳だ
「つーか、お前はどーなんだよ?」
「えーー?」
「毎日修行ばっかでヤじゃねーのかよ?」
「だってあたしは…この仕事を誇り持ってるもの」
その時、お隣さんのおばあさんが飛び込んできた
もちろん、理由は一つ。俺たちが楽しく話をしていたからだ
うち…墨村家と雪村家は元々同じ流派だった
というか、開祖が子を成さなかったため、弟子だった両家の先祖が後継でもめにもめて、400年経った今ももめているという、ありがた迷惑なことが続いているのである
『はぁ…』
たしかに、いがみ合いのある家が隣同士で、しかも夜の仕事まであるとなりゃ…
『イヤだよな、こんな家…』
「だろ!? っていうか、兄ちゃん止めてよ!」
『無理だろ』
いがみ合う意味がわからないまま、俺と良守はそのまま家に入り服を着替えた
『父さん、良守寝そうだから布団ひいていい?』
「あぁ、うん。構わないよ」
『サンキュー』
晩飯前に良守がうつらうつらしてきたのを確認し、片腕で抱きかかえながら晩飯の支度を始める父さんに言い、良守を布団の上に寝かせる
「守真も寝ていいんだよ?」
『俺は平気だよ』
くうくうと寝ている良守を部屋において、俺は晩飯に手をつけた
結界師というこの家業のそもそもは、その昔…開祖がこの地を治めていた烏森家の殿様に仕えたことに始まる
烏森家は異常なほど霊的エネルギーの高い一族であったらしい
それゆえ、寄り付く怪しげなものや奇怪な現象に悩まされていた
そこへ、妖怪退治の専門家として呼ばれたのが、開祖の間時守だった
そして以後、烏森家付き結界師として仕えることになる
だが、烏森家は代を重ねるごとにその「力」を蓄積、近づく妖がその力を得て急激に進化して人を殺す事件が増える
そしてある時、過労や急病が重なり、結界師が全く任につけない日が3日続いた
4日目の朝、結界師が赴くと城内は増殖・巨大化した魑魅魍魎が跋扈し、城の人間は誰1人として生き残っていなかった
そうして、烏森家は滅んだ
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月18日 11時