5-2 ページ29
「それでは一同、礼!」
ぺこり、と綺麗にお辞儀をした蛇3匹に俺は頭を抱えた
「おい…まさか、人をわざわざ放課後生徒指導室に呼び出したのは、そんなものを見せるためじゃないだろうな…」
「もちろん、お楽しみはこれからさ。キミたちのために仕込んだ特別の芸をお見せしよう!」
「やっぱそんな用事かよ!くだらねーことで呼び出すんじゃねーよ…!」
「なんで怒るのさ〜。だって僕、嬉しくて…キミたちみたいに変わった力持った人に会えたの…初めてだから…
それにキミは僕の恩人だしね!」
『ハハハハ…』
キラキラと向けられた眼差しに俺は足と腕を組み、顔を逸らして乾いた笑みを浮かべる
好きで俺はあんたを助けたわけじゃない。妖を退治したらあんたを結果的に助けたわけだ。そこだけ忘れるな
「だから愛すべきお仲間に、ここ数日寝る間も惜しんで鍛え上げた渾身の芸をプレゼントするよ!」
「帰るか」
「そうね」
『アホらし』
ガタガタとパイプ椅子から立ち上がって生徒指導室を出ていき、誰もいない廊下を3人並んで步いていく
「悪い人ではなさそうだけどね…」
「まーな」
「でも正直、前の方がカッコ良かったかなー」
「!?」
『ハハハハ』
「そ、そういや俺も…他の異能者って会ったことねえな。お前ある?」
「え?うん。裏会の紹介で流しの術者の人、何人か家でお世話したし」
「へーうち、そういうのねーなぁ。な、兄ちゃん」
『あぁ…記憶してるうちにはねぇな』
そういったことはないし別にあってもなくても大丈夫だから別にいいんだけどな…あったとしても、どうせ爺ちゃんがなんとかするだろうし
『まあ、うちの場合は母さんが裏会の仕事の要請を散々蹴ったせいでもあるからな』
「そういえば、今どうしてるの?お母さん」
「どうだろ?たま〜に帰ってくるけど、すぐいなくなるし…なんか他で結界師やってるって話だけど」
「そう…。ごめん、昼間の学校でする話じゃなかったね」
『別にいいだろ。ここには爺ちゃんもばあさんもいねえし、お前らはただの学生。気にすることなくすればいい』
「守真くん」
『それに、まだ16と14のガキが気にするようなことじゃねぇだろ。もめにもめまくってる400年のいざこざも、お前たちに関係ねぇしな』
わしゃわしゃと2人の頭を撫でつけてやると、少し目を逸らして照れる2人がいる
『いいんだよ、お前らは。いざこざに縛られることなく、仲良くすればいい
ガキの頃からの仲なんだからな』
「守真くん…」
「兄ちゃん…」
72人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年6月18日 11時