もう1人の正統継承者【男主】 (ページ20)

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ー教室ー

『この辺りだな…1番近いのは』

教室の中に入り、俺が中を見回していると「ちょうどよかった」と声が響いた
どうやら、バッチリ本命のようだ

「あなたのような人を捜してたんです
このハサミの切れ味を試せるような…生身の人をね」

『…ふぅん…あいにくだが、俺はそう簡単にやられるタマじゃないぜ？』

俺が指を構えて対戦の意を示していると、時音と良守も中に入ってきた

「おや…増えてしまいましたね…
構いませんよオ。1人ずつ減らしていきましょう！」

「な、なんや!? ヤバい！ヤバいであのおっちゃん！」

「時音あ、あんた器がないから邪気が直にくるんだ
下がってな」

『…………』

さて、この人間霊どうやって対処するか…

「私ねえ…生前は本当についてなくてねえ…
なんの問題も起こしてないのに突然リストラですよ…
理由は結果を何も出してないから…あんまりですよ…25年も忠実に勤め上げてたのに…なんにもないだなんて…
だから決めたんです

今度は私が首を切る側に回ろうとね！」

ﾐｼ…

『滅』

「!?」

男の右手がハサミに変わったのを俺が結界を作って滅した
破壊された腕に驚き声を上げる霊に、俺は机に飛び乗り『おい』と低く声をかける

『消えたいか？』

「くっ！」

再生しようとするのと体の節々全てを結界で抑え込み一気に滅する
再生したところで俺が滅することが1番早いだろう

「守真くん…！無理よ、一度病んだらもう元には」

『うるせえよ。まだ間に合う』

「兄ちゃん…」

『おいあんた。二度言わない、外へ出ろ、これは命令だ』

両腕両足の膝下までが消えた霊は、「ついてない…」とぶつくさ言いながら俺の指示に従って外に出る

『ひとつ聞く。あんた、現世でいいことひとつもなかったのか？』

「いいこと？いいことなんて別に…」

『なら、嬉しかったことは？』

「うーん…嬉しかったこと…
そうねぇ…入社が決まった時は嬉しかったなぁ…」

『他』

「うーん、結婚？いや…女房とは見合いだったからあんまり感慨なかったしなあ」

『さっさと言えよ…』

イライラが募っていくと、「ああ、でも…」と1番穏やかな声が聞こえてきた