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「青子…青子!!」
『うん、なぁに、アッシュ』
「青子…!」
俺に歩み寄り、強く抱きしめてくれた青子
良かった、人がいなくて。良かった、青子が俺を思い出してくれて
俺は子どものようにわんわん泣いた
青子は何も言わずに俺を強く抱きしめ、頭を優しく撫でてくれた
『さて、アッシュ坊やは落ち着いたかな?』
グスグス鼻を鳴らしていると、青子は『あらら、目が真っ赤』と俺の目尻に触れると『泣かせてごめんね』と謝ってきた
俺は首をブンブン振って「青子のせいじゃない。あの時、俺が逃げてたら」と言うと、俺の唇に細くてしなやかな指が当てられた
『そんなこと言わないの。ヒーローが人を守ることは当たり前だよ?』
「…でも」
『あーあ、私はアッシュの笑った顔が好きなのにな〜
アッシュは、笑ってくれないの?』
「…ずりい」
『ねえ、アッシュ』
ー笑って?ー
優しく言った青子に俺は涙を拭ってとびきりの笑顔を見せてやった
それを見て青子は『うんうん、可愛い』と言う
「おい、可愛いってなんだよ」
『エリちゃんみたいで、可愛いな〜って』
「…なあ、青子」
『んー?』
図書館を出るために歩き出した青子の後を追いかける
「俺は青子が好きだよ」
『………知ってる』
「愛してる」
『病院でも言ってた』
「俺はまだガキだ」
『そうだね。愛を語るにはまだ子どもだ』
「だから、待ってて欲しい」
『…?』
「俺が、青子に似合うとびきりの男になるまで」
『…あれ、言っちゃうんだ。でも、私の周りにはイケメン多いよ?』
「…努力する。たとえどれだけいい男が青子のそばにいても、俺が必ず青子の隣に立つ」
『んー…それは無理なんじゃない?』
「えっ」
『だって私』
夕日をバッグに、青子は振り返った
『支えたい奴がいるから』
頭の中が真っ白になって冷えていくのがわかった
支えたい奴って、誰?
「…それ、誰?」
『友達。No.1ヒーローになりたくて、“個性”暴走させながら頑張ってるんだよね
初めて会ったときから、こいつはヒーローになれるって直感した
だから、支える。支えなきゃいけない…アイツが死ぬ時が、ヒーローの死だ』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年5月29日 0時