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翌日、青子が目を覚ましたと聞いて兄貴たちは大騒ぎだったが、俺にとってそれはどうでもよかった
ただ、目の前にいる愛した人が俺を覚えていなかったのだ
「ここはどこだかわかるかい？」
『病院…』
「なぜここにいるのかわかるかな？」
『確か…工事現場の鉄骨の下敷きになって…』
「うん、じゃあ自分の名前は言えるかな？」
『…青子、夜神月青子』
「うん、意識が混濁しているのはあるかもしれないね
リハビリもしていくのも考えていこう」
『あの、いつ頃退院できるんですか？』
「そうだね…2ヶ月はいるかな」
『2ヶ月…』
「青子ちゃん、大丈夫。向こうに帰っても3月には間に合うよ」
『だと、いいけど…緑谷と爆豪のこと、心配だし…』
「そうだな…。けど、今はリハビリが優先だ」
ベッドに座って窓の外を眺め頬を膨らませてつまらなさそうにすると、『ねえ、兄さん』とベッド脇に立っていた男…天城に青子は声をかけた
『私の知り合いの、老夫婦なんていた？』
「え？」
『私とお兄ちゃんのこと知ってる老夫婦なんて、いるの？』
「いや、そんな奴ら知らねェけどなんでだ？」
『頭の中で声がしたんだ』
「それはそれは、どうやらロゼリアの記憶が蘇ってきてるみたいだね」
「!!?」
ガタンッと俺は座っていた椅子から飛びのいた
俺の隣に立っていたのは、まるで生き人形のように表情が読めない奴だった
『なんだ、きてたんだ』
「噂のリンクスを見に来たんだよ」
『リンクス？』
「おや、キミという者がこの子を忘れちゃったのかい？
薄情だねぇ、キミももっと彼女を罵倒っていいんだよ？」
「いや、俺は…」
青い双眼が俺を見て離さない
真っ直ぐと向けられたその瞳に俺は何も言えず、ただただ押し黙るしかなかった
『…兄さん、この子は私のなんなの？』
「お前の友達だよ」
『友達？』
「そう。アメリカの大事な友達」
アメリカという単語しか聞き取れなかったが、どうやら俺と青子の関係性を説明したのか、青子はベッドから立ち上がり俺の目の前に立つ
事故に遭った人間にしてはなんで立てるんだというツッコミは、今できず俺は鼻先がくっつきそうなほど近くにいる青子にドギマギした
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年5月29日 0時
