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生きることに貪欲、そう言われて私は首を縦に振ることも横に振ることもなかった
ブランカに言われて、私はふと生きることについて考えた
生きたいと思ったこともないし、死にたいと思ったこともなかった
ただ自分に与えられた仕事をこなしていくことを前提に考えて生きてきただけだった
その人生は楽しいのかと問われれば、私は何も答えないだろう
好きでこんなことをしているわけでもないし、やらなくていいならやらないことに越したことはない
私がなぜこんな立場になってこんなことをして、自らの手を汚してヒーローになっているのか理解ができなかった
私は腐っても、仮にもヒーローだ
市民を守り、敵を捕まえて社会に貢献する…そんなヒーローになるべくして雄英に入ったはずだった
なのに私は、人様に迷惑をかけながらヒーローになろうとしている
『正しいって、なんなの？』
ザーーーッと降る雨の中、ポツンポツンと窓ガラスに当たる雫にボソリとつぶやく
どうやったって意味がないのはわかってる
足掻いたところで私の過去が変わるわけでもなんでもない
私は一生、自由にはなれないんだろう
羽をもがれ、飛び立とうともできず、カゴの中に押し込められ、与えられた餌を食べて鳴き続ける哀れでバカな小鳥になるのだろう
ーーーーー
ーーー
ー
“お姉ちゃん！”
…エリ、ちゃん？
“どんなことがあっても、俺は青子の味方だ…何があっても、お前は…俺の大切な家族だ”
焦凍？
ねえ、なんでみんないるの？
目の前に穏やかで優しい笑顔を浮かべるA組がいた
なんで？ここにいるの？みんなは今インターンとかで忙しいはずなのに
“キミは…そちらには行けないんだよ”
ドロォッとしたものが両手にビチャビチャと落ちてくる
どれだけ拭いても拭いても湧き上がってくるそれは、どんどん足元にまで溜まって行き、動くことすらままならない
「キミは…闇から逃れられない」
耳につく嫌な声
真っ暗な闇に突き落とされた
『…アァッ…!!!!』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年5月29日 0時
