元殺し屋はヒーローになる14 (ページ47)

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緑谷はワン・フォー・オールを爆豪に譲渡したことに微塵も後悔はなかった
青子からの提案がなければ自身も言っていたのだ

けれど、そうすることしかできなかった自分が不甲斐なかった
せっかく後継者にと選んでくれたオールマイトに応えられなかったことが悲しくて悔しくて、申し訳なくて仕方なかった

期待に応えられなかったことが辛くてしょうがなかった

「……緑谷少年……」

「ごめんなさい……オールマイト
ごめんなさい…でも、僕は……」

子供のように謝った彼はぱたりと気絶してしまう
そんな時に「オールマイト！」と駆け寄るのは烏間と超生物、殺せんせーである

「爆豪くん！」

「青子さん！」

気絶している2人のそばに駆け寄り、なんともないことを確認した2人は、「緑谷くんはどうですか」と聞いた

「……緑谷少年、私は、キミにワン・フォー・オールを渡したことを、微塵も後悔していない
キミは正しく使ったのだ……
紡がれてきた義勇の心を……その結晶である力を……」

聞こえていなくても、言ってあげたかった
夢の中でも愛しい弟子が悲しまなくてすむように

キミは立派なヒーローだと

その時、オールマイトは目の端に光を感じて顔を上げる
重ねた手の下で緑谷の手に光の筋が現れ、体全体に出現していく

「ワン・フォー・オールが…！」

「譲渡したんじゃ……！」

「…きっと、譲渡が完了する前に爆豪くんが気絶してしまったからでしょう」

ぺむ、と黄色い触手を爆豪の額においた殺せんせーは、そのそばで眠る青子にも触手をおいた

「いや、違う」

「にゅ？」

「命をかけて守ろうとした者と……命をかけて勝とうとした者に、ワン・フォー・オールが奇跡を与えてくれたのだ……」

力を紡いできた歴代のワン・フォー・オール継承者たちが、必死で戦う少年たちにきっと力を貸してくれたのだ

オールマイトは師匠である志村菜奈が微笑んでくれたいるような気がした

「お師匠……歴代の皆様……ありがとう、ございます……」

力を貸してくれて

そして、少年の夢を繋いでくれて

オールマイトが感謝の念に頭を下げる

握られた緑谷と爆豪の手に熱い涙が落ちるのと同時に、微かに…青子が微笑んでいた