元殺し屋はヒーローになる14 (ページ46)

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「あーあ、よかったんスか？」

「あん？」

「ナイン、逃しちゃって～」

「あぁ…」

男はテクテクと海の上を歩きながら、ハンッと笑った

「あんな野郎、生きてようが死んでようがもうどうでもいいだろ」

「けど、またあの子供を狙って島にやってきたらどうするんスか？」

「んなもん起こらねーよ」

「わぷっ」

男は隣を歩く少年の頭をわしゃわしゃと撫でたあと、そのまま歩いていった

．

「ん…………お、オールマイト……」

暖かい何かに支えられたのを感じて目を覚ました緑谷は、自分を心配そうに覗き込むオールマイトを見た

頭上では戦闘機が飛んでおり、どうやら烏間の指示でやってきたとわかる

「か、かっちゃんと……青子さんは……？」

ボロボロの状態の自分は目を開けているのもやっとの状態
それなのに、すぐに他の誰かのことを心配する緑谷に、オールマイトは少し苦笑した

「……キミはいつでも人の心配を先にするな……
ボロボロだが大丈夫、命の心配はない
キミと爆豪少年の手当ては夜神月少女がしてくれたんだ
あとで、お礼を言うといい」

瓦礫から救出し、気を失っている爆豪と緑谷の傷の手当てをしたのは青子だった
自分自身もズタボロの体であるのに、動き2人を助け治療したのだ

その本人は、くかーーーと大きな口を開けて深く眠っている
そんな間抜けな寝顔を見た緑谷は、「よかった…」と呟いたあと、「2人にすごく無理を、させたから」と言う

「2人に？」

「………オールマイト………」

緑谷は悲壮な顔でオールマイトを見つめ、口を開いた

「じょ、譲渡したんです……ワン・フォー・オールを、かっちゃんに」

「ワン・フォー・オールを………!?」

「２つのワン・フォー・オールを使わないと……そうしないと、島の人たちを守れなかった………
敵を倒せなかった……だから、後悔……してません
それに…………青子さんが言わなきゃ、僕が……言ってたから……」

緑谷の瞳に大粒の涙が溢れていく

「でも、ごめんなさい……せっかく後継者に選んでくれたのに、ヒーローになれるって言ってくれたのに……
でも僕は、どうしても、みんなを守りたくて……！」