元殺し屋はヒーローになる14 (ページ24)

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青子side

パァン、という甲高い音が聞こえてきて、目を見開き少し口の端を持ち上げる

(……間に合ったか！)

戦いながら常闇たちがいるであろう鍾乳洞から聞こえてきた音を聞きながらナインの爪弾を避ける
すると、爆破で飛んできた爆豪かっちゃんが私の背中を殴り飛ばした

「集中しろ！」

『悪い！』

一瞬でも気を抜けばあとはない

それは今までの経験で叩き込まれたことだ
それを肝に銘じてすぐさま立ち上がり駆け出した

轟side

「ぉおおおおおお!!!」

凍る大滝の前で、高速で駆けていく飯田が、青子が言っていた敵…キメラへと渾身の蹴りを繰り出す

だが、キメラは「無駄だ」とガードした手で飯田の足をつかみ、投げつけた

そんな飯田の後ろから硬化している切島が駆け込み、全力をのせた拳をキメラの腹部へ打ち込もうとするが、それも飯田と同様に「かゆいな」と腕で止められてしまった

切島は顔を掴まれ岩を砕きながら投げ飛ばされ岸壁ににめりこんだ

俺は舌打ちをしながら炎をキメラへと向けるが、翼のような手で起こした風に簡単に吹き飛ばされてしまう

そのがら空きの背中から飯田が高速で蹴りを繰り出すも再び弾かれ、キメラが飯田に攻撃しようとするのを俺の氷結で止める

「……テメーら、無駄だと言ってるだろ」

俺たちの攻撃に苛立ちを募らせたキメラが氷を豪快に破壊し、葉巻を吐き捨て俺たちのの元へ足を伸ばしたその時、キメラに異変が起こった

「か……体が…!?」

「単調な攻撃を繰り返したのは意味がある」

「俺の足、そして切島くんの手には…蛙吸くんが作った毒性の粘液が塗られていた」

近くの岩に保護色で紛れていた蛙吸が、「梅雨ちゃんね」と姿を現した
その腕からは透明な粘液が出ている

「観念しろよ、おっさん」

立ち上がって降伏を促す切島と、キメラの足元を氷結させる俺

「……小賢しい真似しやがって」

キメラがそう呟いた直後、膨張した靴が破れ、まるで鶏のような足が現れた
その足は瞬く間に醜く大きく変化していく

その変化は体全体に起こっていて、獣の胴体、鳥類の手足、爬虫類の尻尾、頭部から生えた大きなツノ

あれがあいつの本当の姿