元殺し屋はヒーローになる14 (ページ22)

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「なかなか……」

顔を上げ、ナインは自分に対して身構える私たちを見据えた

「ここから先は」

『何があろうと』

「ブッ殺す！」

NOside

わずかな光しか差し込まない鍾乳洞での戦いは、スライスの有利に進められていた

狭い空間で縦横無尽に伸びる髪の刃と、軽業師のように柔軟な体制から繰り出されるナイフ攻撃に常闇は防戦一方になっている

常闇も鋼鉄製の爪で刃を防ぎ振り払うがついにバランスを崩し後ろに手をついてしまう

「何が俺の世界よ、威勢のいいこと言って」

スライスは挑発しながら素早く指先と靴は仕込んでいたナイフで攻撃をしかける
続け様のナイフ攻撃に加えて髪の刃が飛ぶ

常闇を追い詰め、「その程度？」と上から靴のナイフを常闇に振り下ろした

(手数は向こうのほうが上)

けれど、間髪入れずに飛んできた回し蹴りに常闇が激しく転がる

(一瞬でいい、隙を)

「哀れね!!」

なんとか起き上がる常闇に、スライスは相手を虐げる快感に口の端をあげ、トドメを刺しに髪の刃を向ける

だが同時に常闇がスライスに向かって飛んだ

向かってくる刃が常闇を掠めていき、切られたヒーロースーツから血が溢れる

それでも常闇は覚悟の上だった
傷だらけになりながらダークシャドウの爪を左右に交差させスライスに襲いかかる

「深淵暗駆(ブラックアンク)・夜宴(サバト)!!」

刃で受け止めようとしたスライスがその威力に弾かれた
常闇が芦戸に叫ぶ

「今だ！」

「アシッドショット!!」

機会を窺っていた芦戸がスライスに酸を放った
常闇が「一気に決める」とダークシャドウを自ら放し、向かわせる

酸を受けた髪の刃が溶け落ちたのに気づいたスライスの顔が怒りに歪んだ

「……よ、よくも」

怒りのままスライスは髪の腹を飛ばす
無数のそれに突き刺されたダークシャドウが頭に声を上げてのけぞる

芦戸が酸で滑りながら距離を取り、手からの酸で髪の針を溶かしにかかる

しかし、大事な髪を溶かした元凶をスライスは逃しはしなかった