元殺し屋はヒーローになる28 (ページ38)

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大きな声で叫んでくる焦凍の言葉に耳を傾けないようにわざと氷を割る音を大きくしていく

ー次はキミ達だー

そんな言葉が、頭の中に響いた

「俺たちも一緒に戦わせろ!!! 家族だろ!!!」

『……できないよ』

死柄木を止めるのも

ワン・フォー・オールの想いを繋いでいくのも

みんなを守るのも

『これは私とオール・フォー・ワンの戦いだから。みんなは…関係ない』

「この、わからず屋!!」

「麗日くん!!」

ドゴン、という大きな音を立てて氷から抜け出すことができた
その氷を足場にして一旦距離を取るために一気に飛び出した

「青子ちゃん!!」

『！』

横殴りで飛んできた梅雨ちゃんの舌を身を捩って避けたとき、背中に何かが引っかかってガクンと揺れた
後ろを見れば、そこには峰田がいた

「お前のパワーが(・・・・)カッケェなんてオイラ思ったことねぇや。オイラが惚れたお前はいつも自信満々で！腹立つぐらい強くて！那歩島でみんなと一緒に(・・・)道を切り拓いた、あん時のお前だ」

『峰田…！』

背中についている峰田のもぎもぎをオーバーホールで触れて分解する
落ちていく峰田を思い切りワイヤーで掴んで梅雨ちゃんの方に向かって投げ飛ばした

(一旦この場所から逃げる!! 体勢を整えたところで奇襲をかける！)

「行かせて、たまるか!!」

『………！』

「青子ちゃん!! あん時とはちゃう…私、わっ!!」

『もう………ついてこないで…!!』

本気でこいなんて言った

だけど、みんなに…本気で相手できるわけない

だって触れたら、傷つける

(みんなに、嫌われたくない…これ以上、怖い思いをさせたくない!!)

不安がっている顔を、みんなが寮に帰った時に見たから
怖がってたのを知っているから、絶望していたと聞いたから

そんな顔してほしくなくて、ずっと笑っていてほしくて、素敵なヒーローを目指してほしくて

『私のこと、何にも知らないくせに!! ついていくなんて、簡単に言わないでよ!!!』

雨が降り頻る中、頬にあたる雨水なのか目から流れ出る涙なのか自分でもわからない
追いかけてこなくていいという意味を向けて、銃を向けた

怯んでよ…！もう、来なくていいから！