元殺し屋はヒーローになる28 (ページ36)

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『ってぇな…クソ…加減なくやりやがって…！』

ギリッと爪を立てれば《イタイ！》と叫ぶのに、私を離そうとしない
もういいって…もういいから…来るなよ…ついてこないで

『リンゴアメがなんだよ…エリちゃんだって…あの子だって、私からじゃなくても』

あの子の笑顔を奪いたくない
こんな“個性”のせいで、あの子を怖がらせるぐらいなら、私は…あの子の笑顔が、消えてしまうのなら

(死んだ方がいい)

ｶﾞｼｬﾝ！

『！』

私の体を拘束する大袈裟な装置が現れた
腕を押さえつけられてるから振り解くこともできず、されるがままにヘルメットのようなものまで被せられた

「初めは、一同あなたと緑谷さんについていくつもりでした。今はエンデヴァーたちと協力のもと、“個性”を行使しています
青子さんの安全を確保すると言う任務で」

『へぇ…？私の安全を確保する、ねぇ？自分の身は自分で守る。それが流儀でね…お前らに確保してもらわなくても自分の安全ぐらい、確保できる
お前ら、自分の安全すら守れてねえくせに…雄英に守られてるくせに人を守るって言えるんだ…自分の身ひとつ守れなくて戦争の時に守ってもらってたくせに………よく立派なこと言えたな』

違う、こんなことが言いたいんじゃない

守らなくていいから

こんなところにいなくていいから

危ないことはしないでよ

『ふざけんのも大概にしろよ…！私は、守ってもらわなくてもいい!!』

バキバキと装置を壊しながら歩いていく
何も言わずに固まっている八百万ちゃんを見て、『ほら、何もできない』と言えば、唇を噛んで泣きそうな顔をしている

そんな顔するなよ

悪くないから、何も悪くない

守られてることは悪いことじゃない

『もうかまうなよ…邪魔なんだよ…！』

「やなこった!!」

『！』

「夜神月！オーバーホールだかも大事だと思うけど、今のお前にはもっと大事なもんがあるぜ！
全然趣味とか違げーけどお前は友達だ！だから無理くりにでもやらせてもらう！」

「絶縁テープを巻いてある…八百万産のな。お前がいつもピンチの時に、道を切り拓いていた姿が眩しくて仕方なかった」

「夜神月、お前は夜を照らす月だ。1人で闇を照らすというのなら、俺たちも手伝う」

「お前にとって俺たちは庇護対象でしかないのか？」

「とりあえず風呂入ろうぜ!! 夜神月、風呂行こ!!」