元殺し屋はヒーローになる28 (ページ34)

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飛び込んでくる爆豪の腕をよけて、体を捻ってそのまま地面に叩き落とす
全員、一度は攻撃を入れて気絶させなければならない

力の差を見せつけて私についていけないと理解させなければならない

それなら…

ウェストポーチに手を忍ばせたその時、ブワッと何かが視界を遮った

咄嗟に腕でガードし、目をかすかに開けて前を見れば、そこには鳥や鳩、カラスが飛び交っていた

『鳥…!?』

「戻ってきて大丈夫だって!! 夜神月さん!!」

『口田の…“個性”…っ!!』

「校長先生が戻っておいでって!! ね!? だから、逃げないで!!」

『逃げないで？言っただろ…敵だって…本気でかかって来いよ、誰が逃げるかよ』

ユージンの“個性”を使い、鳥たちを見る。自分を捕食される者とわかった途端に一気に飛び散った
ユージンの“個性”は「狩人」。その場の人間を「標的」と見定めた後、狩り終えるまで追いかける

飛び散った途端に“個性”を解除し、ビルの足場に足をかけてそのまま距離を取る

ﾋﾟｯ！

『！』

体に巻き付けられたのは、テープ…瀬呂の“個性”だとすぐに理解した

「いつも顔恐ェけどさ！今の顔が今までの中で1番コエーよ、警戒するわ！」

『……………』

「うわっ!?」

私の体を巻き付けるテープをライアンの“個性”とアイワーンの“個性”を使って脱出する

ライアンは「砂」、アイワーンは「毒」
どちらともに、対象のものを砂に変えたり、溶かしたりすることができる

「うっ！」

毒で溶かし、砂に変えたテープの先を掴んで思い切り引き寄せる
瀬呂との顔の近さなど気にせずに距離を近づけた

『かかって来いって、言ったよな…』

「っ…！」

『私は、本気だぞ』

「ゔあっ…!!」

「瀬呂!!」

回し蹴りで瀬呂を吹っ飛ばし、電柱の上に飛び乗って振り返った
全員がこちらを見て汗を流している

『本気で、殺す気でこいよ…』

背後に、フッと影ができた

「ハートビート…!! …………!!!」

『騒音(ノイズ)』

「っ!!!」

「耳郎！」

パチン、と指を鳴らせば耳郎ちゃんに向けて騒音が響いた
そのまま落ちていく耳郎ちゃんを見ることなく、私はその場から飛び降りた

「っ…夜神月ぃ！」

『………………』