元殺し屋はヒーローになる13 (ページ46)

今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:82,520 hit

100話対決ページ46

カルマside

「お姉ちゃん、ヒーローに敵のこと知らせなきゃ！」

「携帯通じないんだから、しょうがないじゃない」

緑谷との通話が切れてしまってから、真幌は活真を連れて家へと向かっていた
収穫を待つ背の高いさとうきび畑を過ぎれば、真幌たちの家だ

活真はヒーロー事務所へ知らせに行くと言い続けていたが、弟の安全を1番に考える真幌にとっては得策には思えない

なにより、真幌は島にやってきてまだ間もないヒーローたちをヒーローだとは認めていない

「一度家に戻って村のみんなに…………」

やっと家が見えてきて、真幌がホッとした次の瞬間、かすかな閃光が家に向かって放たれたのが見えて、2人の腕を掴み、抱き寄せると家が大きな音を立てながら崩壊した

爆風に吹き飛ばされ、俺は受け身をとりながら2人に怪我がないように転がった
2人の帽子が舞い上がってしまう

「ぐっ！」

「カルマ！」

「カルマ兄ちゃん！」

受け身をとったはいいけど、手首を痛めたらしくジクジクと痛んできた
くそっ、こんな時に…！

痛みに顔を歪めていると、2人は一瞬にしてなくなってしまった我が家を見て呆然としている

「…………家が……」

何が起こったのかわからずにいる2人の前に、煙の中から黒い影が見えた
俺は咄嗟に2人を自分の後ろに隠し、ゆっくりと2人を後ろに押しながら下がって行く

「見つけたぞ。B型の細胞活性……」

どう見たってナリが敵だ
敵が見つめているのは、俺の後ろで怖がり、俺の服を掴む2人だ

何をしているのかわからない
怯える2人に敵は活真の方を見る

「少年、キミの“個性”を奪う」

「!?」

敵の言葉に俺はすぐに活真を抱き上げ、真幌をおぶり、走り出すために足に力を込める
勝てるか負けるかと聞かれて、負けるに決まってる

俺は青子じゃないし、A組の奴らでも、ヒーローでもなんでもない
ただの無個性の人間だ。けど、俺には「力」がある

暗殺のために身につけたこの力がある
幸いにしてこの超体育着もある

(なんで活真の“個性”が…？)

「安心しろ、殺しはしない」

ゆっくりと歩いてくる敵に、真幌が怯え、震え出す