元殺し屋はヒーローになる13 (ページ34)

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『んじゃ、あったかくして寝てね。夜だからって、薄着で寝ちゃうのは』

「ダメ」

『よし、偉い偉い』

くしゃりと活真の頭を撫で、『ご褒美に』とポケットからグレープ味の棒キャンディ2本を取り出す

『怖いのにちゃんとものを言えた活真と、あの爆豪かっちゃんに挑んだ真幌の勇気を称えて、ご褒美のキャンディね』

「「わぁ！」」

「コレ、すっごく美味しいのだ！」

『私がこの島にいる間は、いいことしたらおいで
たくさんあげる』

「ホント!?」

『ホントホント。なら、住所教えてくれたら本土に戻ってからも送る』

「「わーーい！」」

年相応に笑い、口にキャンディを入れて微笑み合う2人に『じゃ、おやすみ』と頭を撫でてその場から近くの木へと飛び移り、ついでのパトロールに出た

NOside

突然の落雷によって大規模な被害を受けた早朝の本島の市街地では、火災はまだ完全に鎮火しておらず、消火活動が続けられ、救急隊によってけが人がひっきりなしに運ばれていた

そんな中、ホークスは軽トラック事故の現場検証に立ち会っていた

(被害者の中に、また“個性”喪失者が……)

被害者が“個性”を喪失したとの情報を得て飛んできたのだ

先ほどまでともにいた折り鶴の男は、「フフフ…また血が増えた」と言い、どこかへフラリと歩き去ってしまったのだ

話を戻すが、全くの別件で“個性”喪失事件が起こるとは考えにくい

ただ、今回の被害者は、ヒーローではなく一般の人間だ

意識はまだ戻らず、しかも身元のわかるものが全て奪われている

(犯人は、奪った“個性”がなんなのかも知られたくない……？
なぜ、隠す必要が…………)

やはり重要なのは奪った“個性”にある

思案するホークスの鼻先に、ポツンと水の滴が落ちてきた

上を見上げればゴロゴロと雷が鳴り、薄暗くどんよりとした雲が空を覆い尽くしている

「オアシスの雨(オアシス・レイン)!!」

誰かの声と共に、ザーーーッと大雨が降り注ぎ、ホークスはポカァンと雨を見つめた

(この雨…まさか)

ホークスはあたりを見回したが、頭の中に浮かんだ人間はどこにもいない