元殺し屋はヒーローになる11 (ページ25)

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『緑谷が努力して授かった力を、こうもあっさり誰かにあげるなんて…!!
あんた本当に大馬鹿だよ!!! 他人が明るい未来を歩くために、何かを犠牲にしなきゃいけない時、あんたは絶対自分の何かを犠牲にする!!!

私はそういうのが許せない!! あんたが努力してオールマイトからもらったはずの力を、他人に渡すなんて…！

自分の体を壊してでも、使いこなそうとしてた時の緑谷が1番好きだった!!
今の緑谷は大嫌い!! 馬鹿みたいに泣きそうな顔して、そんなので救けられたなんて…私、ちっとも嬉しくない!!!』

ドンドン、と僕の胸を拳で叩く青子さんは『馬鹿！馬鹿緑谷！』と嗚咽を漏らしている

『敗けないじゃなかったの!? 使いこなして爆豪の上行くんでしょ!?
No.1ヒーローになるんじゃなかったの!? なんで…………っ！自分の努力を手放すのさ!!』

「青子さん…」

『私が好きなのは、努力して勝ち取った人間だよ!!
私はあんたこと、期待してた!! 誰よりもヒーローになれる素質があったから、だから…！』

キラキラと光る青い瞳から大粒の涙が流れていて、僕は何も言えなくて…彼女に何度も謝るしかできなかった

『もうあんなこと言うのやめて…。緑谷が“個性”を失うことなんて、いいんだから…そんなことしなくていい
私もセンパイの“個性”が戻るようにならないか調べるから…』

ギュッと僕よりも背の高い彼女が僕を抱きしめている

なのに、どこか小さくて弱々しくて…とてもじゃないけど、いつもの彼女とは思えなかった

青子さんは大事をとってしばらくは入院をするらしい

彼女的には学校に戻ってみんなに会いたいらしいけど、“個性”のことの心配もあるのでカウンセリングをしながらならしていくらしい

『…麗日ちゃん、梅雨ちゃん、切島、緑谷、今回は本当にありがとう』

「そんな…」

「頭を上げて、青子ちゃん」

「そうだぜ、夜神月！」

「青子さん…」

『…………………私の兄が、本当にご迷惑をおかけしました…。謝っても、許されないことだから…』

「それは違うよ」

僕が否定すれば、青子さんは驚いて目を見開いていた

「青子さんは治崎に強制されてた、そうなんでしょ？そこに嘘偽りはないんでしょ？」

『うん』

「僕達は“困ってる人”を救けにきたんだから」