元殺し屋はヒーローになる11 (ページ23)

今日:8 hit、昨日:22 hit、合計:156,735 hit

78-2 ページ23

「辛い目にあわせて…ばかり…私が…もっとしっかりしていれば…」

「あなたが教えてくれたから強くなれたんだよ！
あなたが教えてくれたからこうして生きてるんだよ!!
俺にもっと教えてくれよ!! 死んじゃダメだって!!!」

「先輩」

嫌だと泣いて

生きてほしくて

「…………………………………大丈夫。お前は…誰より立派なヒーローになってる…
この…未来だけは…変えては…いけないな
だから、笑っていろ
元気とユーモアのない社会に、明るい未来はやって来ない」

ナイトアイの死を静かに告げる音が、病室内に響いた

ナイトアイの死を青子さんに伝えようか迷った

彼女はこの救出に死人が出ると告げていた

まるで予期していたかのように

一夜明けて治崎が死柄木たちに襲われたことがわかり、僕はどうすればいいのか分からず立ち尽くしてしまっていた

「あの…青子さんに会っちゃ、ダメですか？」

「……………夜神月から伝言だ」

「！」

「『ありがとう』だってよ。エリちゃんを救けてくれたこと、すごく感謝してたよ
だが…………………………少し厄介なことがあってな」

「？」

「夜神月本人が、“個性”を使うことに抵抗を持っちまったみたいでな…
緑谷、なんでかとか原因わかるか？」

「えっと…あの、青子さん…治崎に呪われた存在だって言われて…」

僕がしどろもどろと伝えると「なるほどな」と相澤先生は頭をかいた

「…まあ、これはアイツの問題だ。お前が悩む必要はない」

「………。僕、先輩に挨拶してきます」

「あ…オイ今は…」

先輩の病室に入ると、先客がいた

「青子…さん？」

『…緑谷』

額や腕、頬、足…至る所に見える場所には白い包帯が巻かれていて、いつも見せてくれている輝いた笑顔はそこにはなかった

「先輩、青子さん、なんで…………」

「青子ちゃんにナイトアイのことを説明してたんだ」

「えっ…」

「…わかってるさ。でも、青子ちゃんが知りたいって言ってくれた
自分を救わんと戦ってくれた人だからって…
俺は“個性”も失って、師であるナイトアイまで逝ってしまった
笑ってられるような心境じゃない

だからこそさ」

「…」

『…………』