殺し屋のバレー IV 【男主】 (ページ2)

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「まずは、及川のあのサーブを凌ぐことだな。あのサーブで流れを持っていかれるのが1番嫌で、かつ、あり得るパターンだ」

『………………？』

「なんだ、暁。その、納得してない顔」

『いやだって、徹さんのサーブ取れなくても当たり前だで受け流してもいいと思います。1発目は』

「「？」」

『けど、2回、3回と回数を重ねるごとに人は慣れていく。だから最初は取りこぼしてもいい…次取れたら万々歳です』

「！」

「そりゃあ…そうだが、1発目から取れた方が指揮は高まるだろうが！あと、お前みたいなスーパーマンじゃねぇぞ！こいつらは！」

『…だとしても、ウチの戦力を知ってるの練習を見てアドバイスをしてきた俺が1番よく知ってます』

「！」

『大丈夫です。このチームなら、青葉城西に勝てます』

“今”ではないけど

「まあ、確かにそうだが…」

『今、サーブは基本“セッター以外の全員で取る”フォーメーションになってますけど、今回はミドルブロッカーの日向と月島はサーバレシーブには参加せず、攻撃のみに専念した方がいいです。1年の中で“1番”、“ど下手くそ”なので、その分他の仕事で“こき使います”』

「お、おう」

「ぐぬっ…！」

(こいつ、1番とど下手くそとこき使うを強めに言った)

『あと、青葉城西を見て皆さんは“あ、やばい強い”と思ったと思います。実際、俺も見てて思いました
でも、例えば伊達工の試合をもし同じように観客席で見てたら、“なんだあのブロック。マジで恐い勝てない”って怯む
でも俺たちは戦えた。そして勝った。明日もそうです。戦えます』

“勝てます”とは言わない

「「っしゃああ!!」」

「暁、鼓舞するのうまいな」

『……あ、いや…でも、事実ですから』

「お前から見て、勝てると思うか？」

『無理ですね』

「なに!?」

『うちはまだ形になってきてはいるものの、一つ壊せばあっという間にバラバラになるチームです。でも、青葉城西はそうじゃない。叩いても叩いても頑丈で簡単には砕けてくれないチームです
そういうチームは、1番手強くて1番…面白いチームです』

「………戦ったことあるのか？」

『何度かチームに入れてもらったことはあります。入畑監督とは中学の時に何度かお会いして推薦状も書いてくださってましたけど、断りました』

「かーーっ！」

コートに入ってフォーメーションのチェックを始めるみんなを眺めながら、俺は明日のことを考える
1セット取れたらいいだろうな