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確かに…地下からでも聞こえたって事は、上からでも引き戸の音は聞こえると言う事だ
「それよりも…犯人は、桜さんがなんらかの理由で納戸にいたことを知っていた者。つまり」
「桜さんの知り合いの西条さん、竜円さん、水尾さんの可能性が高いっちゅうわけやな」
蘭たちがいたベランダに向かうと、周囲にはカップルが多くいた
ふと足元を見るとベランダなんか板の隙間から、土手とみそぎ川の一部が見えた
「3人とも、桜さんや蘭たちが出ていった後で一度ずつトイレに立っている。しかも、すぐ近くには地下への階段がある」
「3人ともトイレに行くフリして、納戸にいてた桜さんを殺すんは可能やったちゅうわけやな」
階段を降りた先に警官が立っている納戸を通り過ぎて隣の扉を開ける。扉の近くの電灯スイッチを押し、トイレや脱衣所、浴室を確認してからすぐに扉を閉めた
「ただひとつ気になるのは、水尾さんがトイレに行った時千賀鈴さんがついてったことだ」
「あぁ…舞妓さんはみんなそうするみたいや」
『でも、竜円さんと西条さんの時は行かなかったね』
「あれは、おっちゃんとゲームをしていたからだ。逆に言えば、その時を狙ってトイレに立ったのかもしれない」
「ちゅうことは…竜円さんか西条さんが犯人で、水尾さんはシロか?」
『千賀鈴さんが共犯でなければね』
「ん?…そやな」
服部が納得すると「んじゃ、行くか」と新一が両手を組んで頭の後ろに持っていき、階段のほうに歩いて行く
『え?』
「とぼけたらアカン…そのために桜さんの上着探ってたんやろ?」
『あぁ、コレ?』
ポケットからハンカチに包んだ鍵束を取り出すと新一はニヤリと笑った
「桜さんの店は確か、寺町通だったな」
『じゃ、上着取ってくる』
「おう」
座敷に向かうと、先輩とお兄ちゃんが蘭たちと一緒におとなしく待っており、私を見つけると「姫乃」と蘭たちが駆け寄ってくる
「どこ行ってたん?」
『ごめんごめん。ねぇ、私の上着どこにある?』
「え?あ、これな」
「姫乃、お前どっか行くのか?」
『うん』
「大人しくしてろ。犯人わかってねえんだからな…あと、佐々木がこういうの慣れてないから震えてる」
『先輩、大丈夫ですか?』
「あ、うん…平気。多分…」
お兄ちゃんの隣に座って頭を抱えている先輩の前にしゃがむと「はぁ…」と小さくため息を吐いていた
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月9日 15時