【HQ】高校バレー界の問題児とは

十三話 ページ14

試合が進む。

実力差は圧倒的だと思っていたが、案外そんなことはなく、点差は離れていない。

何よりその要因としては、Aのガチ度が関係しているのだろう。
木兎がアタックラインを踏めばバカでかい声でそれを指摘し、赤葦がミスをすれば小さく舌打ちをし、黒尾がホールディングをすれば、｢それは厳しい人ならアウトです｣だなんて言って咎めた。

そんなAに若干引きつつも、他の三人も罰ゲームだけは裂けたいと真剣な表情を浮かべている。



そしてA赤葦チームのマッチポイント。

赤葦がサーブを打ち、それを黒尾が持ち前のレシーブで綺麗に上にあげる。

そのボールを木兎はホールディングをしそうな恐怖と戦いながら丁寧に黒尾に上げた。今回はAからのお咎めの声がなく、木兎は胸を撫で下ろす。

黒尾が大きく踏み込み、ボールを打つ。

それはAの方向へ真っ直ぐにとんでいく。


黒尾｢ちっ、正面かよ｣


腰を下ろしてボールの勢いを殺す。

赤葦は小さくナイスレシーブと呟き、高いオープントスを上げた。思いのほか綺麗に上がった自分のトスに赤葦自身も驚く。それと同時に、このトスなら彼女は決めてくれると確信した。



＿＿＿なんたって、彼女はバレー界に現れた問題児なのだから。



赤葦がAを見上げる。

相も変わらず、男子顔負けのジャンプ力には惚れ惚れする。ぜひとも烏野のよく跳ぶ子と並べてみたい。

黒尾と木兎が1歩下がる。

先程から足の長いスパイクをよく決められていたためだ。よく跳ぶと言っても、男子と比べてしまえば最高到達点なんて決して高くないし、パワーもない。だからAは間に打ったり、奥に打ったりして彼らから点をもぎ取っていたのだ。



＿＿＿この時点で、彼らは負けていると言える。

＿＿＿だって、私の計画通りだから。




綺麗なフォームから鋭いスパイクが放たれると思った。





だけれども、彼女から放たれたのは力のない前に落とされるスパイクだった。



黒尾｢クソっ｣

木兎｢こんにゃろ…｣



二人が飛び込んでくるが、伸ばした手は届かなかった

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