第14章_1 ページ37
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敬浩さんからは結局、何も聞けなかった。
そのまま夜にはこの街から居なくなっていたらしい。
『俺はね、臣。お前ら2人を見てると吐き気しかしないの』
『意味わかる?お前らみたいなのがいると俺がしんどいの』
言葉の意味が、まるでわからなかった。
そんな気持ちのまま冬休みを過ごしたけれど、びっくりするくらい臣はこのことについて何も言わなかった。
「隆二、岩ちゃんが遊ぼって」
「あっそびーましょー!」
「健ちゃん奢ってくれるってさ」
「おい!いつ言った!!」
「健二郎、奢れ。直己も呼ぶ」
「何でわざわざ増やすんすか!!」
「ね、隆二行こ」
こんな風にいつも通りで、何も変わらない。
無かったことにしようとしてる訳ではないのに。
みんなと一緒に居ようとした。
…違うか。
俺が何も考えないようにしてくれてる。
「ハンバーガー!おっきいの食べます!」
「よーし岩田沢山食えよ〜健二郎の奢りだから」
「いや直人さん?!」
「んじゃ俺も〜隆二も食うしょ?」
「健ちゃんなら食べちゃお」
「隆二?!」
岩ちゃん行きつけ(この子は結構詳しい)のハンバーガーショップに集まってみんなでご飯を食べたりもしたし、岩ちゃんの喧嘩している現場をみんなでこっそり見学したりした。
とてもわんこではなかった、うん。
「帰ろっか、隆二」
「ん、うん」
「さよ〜なら〜!おみさんりゅうじさん〜!」
でも、家に戻ればそんな風には行かなかった。
俺がさせなかった。
「隆二先風呂入る?」
「それとも…飲む?」
「俺ら未成年だよ」
「おーい真面目か。お茶でいい?」
あったかいお茶を置いてくれた臣は、いつだって優しい。
今も俺が余計なことを考えないように、隣にいてくれる。
「ねえ、臣」
「ん〜?」
「…どう思ってるの?」
「なにが?」
「なにが、じゃないよ」
今日こそは、はっきりさせなければ。
逃げちゃいけない、そんな思いが溢れてきてしまう。
「…臣、俺は知りたかった」
「だって敬浩さん、いつも笑顔だったけど同じくらい寂しそうだった」
「臣だってみんなだってほんとは気付いててなにも言わないだけなんでしょ?」
ソファに腰掛けたまま、臣は何も言わなかった。
このままじゃ、きっと臣はなにも動いてくれない。
頼りっぱなしで本当にダメな俺だけど。
これだけは、臣と一緒に知りたいこと。
「…行こうよ」
「多分啓司さんとかなら知ってるよね??」
「……」
「ねえってば、臣!!」
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春山の小春(プロフ) - reira1227さん» ありがとうございます!また次回作でもよろしくおねがいします。 (2019年6月25日 8時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
reira1227(プロフ) - 雨宮兄弟大好きなので楽しみにしています! (2019年6月23日 17時) (レス) id: c7865bc4a4 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - 麗華さん» 返信出来ず申し訳ありませんでした。なんとかラストまで書き終えることができました。次回作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 24ef585744 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - 毎日めっちゃ楽しみに見てます!ラストまで頑張ってください!! (2019年5月27日 22時) (レス) id: 860c6ebc86 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - シュニーさん» ありがとうございます!ラストシーンまで駆け足で作成中ですので是非最後までよろしくお願いします。 (2019年3月21日 12時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春山の小春 | 作成日時:2017年9月15日 20時