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いつからこんなに寒くなったんだっけ。
バイクの後ろでも風は涼しいを通り越して寒い。
暖かいのはくっついてる所だけ。
臣はもっと寒そうだった。
「さみぃ」
「さむい」
「ちょ、まじさみぃ。一旦降りて良い?」
「……その間に」
「わーってるよ。冗談」
スピードを上げて目的地を目指し始めると、ひとことも話さなくなった。
だんだんと近付く距離。
それに比例して鼓動が速くなる。
何か話さないと不安になるけど何も思い浮かばない。
「あ、健ちゃん」
「…だれ?」
「岩ちゃんが言ってた、今見張ってる人」
一応先輩なんだけどね、と乾いた笑顔を浮かべ緊張を隠せない臣。
俺たちが近付いて来たことに気付いたのか、健ちゃん?は手招きしてくれた。
「お、それが隆二か?」
「健ちゃんやめてよ〜、触んないで〜」
「おま、先輩やぞ俺!紹介くらいしろや!」
「関西弁…」
健ちゃん、は本当は山下健二郎さんというらしいが俺も健ちゃんでいいと臣が言ってくれたのでそう呼ぶ事にした。
健ちゃんは言葉で不満そうだったけど態度は嬉しそうだった。
「あそこ、ずーっと1人でおんねん」
「健ちゃん話しかけて来なよ」
「なんでやねん!」
漫才のようなコントのような、その違いはよく分からないけど面白いやりとりを見ながらも臣と健ちゃんを促した。
「…ごめん、健ちゃんっていつもこうなの」
「おい臣ちゃん」
「とりあえず、行こっか」
健ちゃんは「頑張れよ、」と言って俺と臣の頭を撫でた後、バイクで仲間達と帰っていった。
敬浩さんはこちらの視線に気付いているのかいないのか、海から一切目を外そうとしない。
「…行くぞ」
「うん…!」
歩き出した瞬間、それを待っていたかのように。
敬浩さんは、こっちを向いた。
「…お待ちしてました、」
「遅いよ〜もう。俺あんまり時間無いんだから」
まるで長年の幼なじみが、引っ越してしまうのかと疑うほど親しみやすい顔で俺たちを迎えた。
敬浩さんの近くにはバイクだけ。
きっともう、荷物は先に向かっているんだろう。
「ごめんねぇ、先に言っとかなくて」
「焦らせちゃった」
「で…なにが知りたい?」
あまりにもいつもと変わらない姿。
これから俺たちは真実を聞くのに。
聞きたい事と敬浩さんの声にギャップがありすぎて、なかなか言葉が出てこない。
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春山の小春(プロフ) - reira1227さん» ありがとうございます!また次回作でもよろしくおねがいします。 (2019年6月25日 8時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
reira1227(プロフ) - 雨宮兄弟大好きなので楽しみにしています! (2019年6月23日 17時) (レス) id: c7865bc4a4 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - 麗華さん» 返信出来ず申し訳ありませんでした。なんとかラストまで書き終えることができました。次回作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 24ef585744 (このIDを非表示/違反報告)
麗華 - 毎日めっちゃ楽しみに見てます!ラストまで頑張ってください!! (2019年5月27日 22時) (レス) id: 860c6ebc86 (このIDを非表示/違反報告)
春山の小春(プロフ) - シュニーさん» ありがとうございます!ラストシーンまで駆け足で作成中ですので是非最後までよろしくお願いします。 (2019年3月21日 12時) (レス) id: 3714b32197 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春山の小春 | 作成日時:2017年9月15日 20時