誰も知らない僕らの居場所。

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3.

そしてそれ以降、夏休みの間臣はキスしたりしてこなかった。
臣の友達にも会わせてもらって友達も増えた。
ただ、敬浩さんにはとうとう会うことが出来なかったけど、臣がそれでいいって言うならいいと思えた。

「隆二さん隆二さん！これ食べます？サワークリーム味！」
「岩ちゃんが食べたら食べる」
「えぇ〜、勘弁してくださいよ〜」

こうやって俺を隆二さんと呼んで慕ってくれるのが岩田剛典くん、通称岩ちゃん。
わんこみたいな顔して、女の子の扱いと家の片付けが雑だと臣が教えてくれた。
そのせいでまた女の子に振られたらしい。
イケメンが勿体無い。臣ほどじゃないけど。

「臣！隆二！こっちおーいで」
「はーい、何ですか？」
「これ、この前俺がリメイクしたの！お揃いであげちゃう♡」
「ありがとうございます！」

こんな感じで臣と俺のことまで可愛がってくれるのが、俺や臣より3個上の20歳で臣のバイト先の先輩兼、暴走族『J.S.B』のリーダー片岡直人さん。
若干オカマ口調になる時がたまにある、これまた残念なイケメン。
背が低いのがコンプレックスとか言ってるけど、元からのリーダー気質はみんなをしっかり束ねてるから気にならない。

それ以外にも『J.S.B』のメンバーに沢山会わせてもらった。
ちなみに岩ちゃんも、『J.S.B』のメンバー。
敬浩さんも入ってるらしいけど、ここ最近は女の子に夢中で来ないらしい。

「じゃ、明日な」
「うん、ありがと」

「…みんな、いい奴だろ？」
「うん！友達増えた！」

夏休み最終日、臣が俺の家の玄関で言ったこと。
ならよかった、と笑った臣。

「…また明日、屋上でな」
「ん、必ず行くよ」

そして背を向けた臣は振り返ることもなくバイクに跨って帰ってしまう。
それが毎日、切なかった。
でも今日は違った。

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