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「臣…っ?」

そっと俺の耳元に臣は唇を寄せた。

「…夜だろーがぜってぇ連れ出してやるからな」
「…っ!?」

吐息がかかってくすぐったい。
このまま抱きしめて欲しい。
つい掴んでいたのは臣のシャツ。

「なーに掴んでんだよ。怖ぇなら呼ばねぇぞ?」
「や…っ!怖くない!」

そう言って臣のシャツから手を離したとき、臣はそのまま俺の手首を掴んできた。
驚いて正面を向くとそこには臣の整い過ぎた顔。
少しずつ近付いて、思わず目を閉じた。

「…んな顔してっと襲われる」
「だ、誰が俺なんかっ!」

俺なんか、臣しか受け付けてない。
そんなことばっかり考えてる。

「さぁ?…俺とか?」

だからこういうセリフは、俺を本気にさせてしまう。
家になんて、帰りたくない。
このままずっと臣と一緒に居たい。

「つーか、そろそろ家帰った方いいんじゃねぇの?」
「…うん」

「俺と違って、隆二は心配されるよ」

臣の家は、臣が不良になったことでもう放っておかれているらしい。
臣は俺のためを思って言ってくれている。
それはわかっている。
でも、正直になりたい。

「ごめん、まだ居てもいい…?」
「…別に、俺はいいけど…」

臣は俺を気遣ってくれる。
それはわかってるけどやっぱり側にいたい。
言ってしまえばこの気持ちがバレるまでずっと側にいたい。

「俺だって、ほんとは臣と同じだよ」
「何が?」
「心配なんてされないし、俺が何してようと多分干渉してこないから。誰と一緒にいようと関係ないって言うよ。俺が一緒にいたいって思ってたら」

幸せだった。
これだけでもう幸せだったんだ。
溢れるほどではなくても。
だって溢れてしまったら、それはもう臣と想いが通じあったことになる。

「…っ馬鹿か」

だからそんな顔されたら。
手の甲でほんのり赤い顔を隠し、加えて耳まで赤くなっている。

「お、み…っ?」
「うっせぇ、見んな」
「なんでそんな」
「うっせぇっつーの!いいから見んなっ!」

臣のこんな姿初めて見た。
いつも余裕たっぷりに微笑むのに。

こんな日々にそろそろ終わりがくるなんて。
今はまだ知らなかった。
臣の苦しみに気付かなかった。
そんな、夏が来る。

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設定タグ:三代目JSoulBrothers , 臣隆 , BL   
作品ジャンル:恋愛
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春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい! (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春山さつき | 作成日時:2017年5月15日 11時

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