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4.
「そういえば、どうして来んなって言ったの?」
2人で落ち着いた後、ベンチに座って聞いたこと。
「あ、いやその…」
「彼女じゃないんでしょ?」
臣はわかりやすく動揺し、目を合わせてくれない。
どうしてだろう、臣がわからない。
臣は意外とわかりやすいから今回もすぐわかると思ったのに。
「…なんでもねーよ」
「何でもなくない。俺結構傷付いたんだよ、言って」
「…なんでもねぇって」
「なんでもないなら藤井さんのゴミノートの話でなんで怒るの?」
奇しくもこれが、解決の糸口になった。
臣は首を傾げてこっちを見る。
「ゴミノート?彼女じゃねぇの?」
「誰が?」
「その、藤井って女」
「いや違うよ、実験のノートもまともにとれないような子だよ?」
「意外と隆二って毒舌だよな」
ゴミノートってつい言ってしまったことは心の中で謝り、ついでにその範囲の要点まで教えてもらった。
「ありがと臣!凄いわかりやすかった!」
「どーいたしまして」
そこそこの時間が経っていたようで、気付けば昼になっていた。
臣と久しぶりに話すことができた嬉しさからか、俺は臣に何故屋上に来るなと言ったのかその理由を聞くのを忘れていた。
「臣はい、お弁当」
「ん、さんきゅ」
受け取ってもらえたことだけで、今の俺は満たされていた。
しかしそれは、臣自身が思い出させてくれた。
「隆二」
「何?」
「ごめん、あんなこと言って」
「…じゃあ、理由教えて…?」
箸を置いて臣を見ると、ひとつ溜息をついて頭を掻く。
何とも気まずそうに、小さな声で。
「…彼女、だと思った」
「え」
「だから!彼女出来たんだって思って…ほら、隆二は俺が1人だから一緒に居てくれてたんだろ」
「隆二、優しいから」
臣の優しすぎる気遣いに俺は声を失って。
そしてどうしても、嫉妬という名前がつくであろうその感情に甘えたくなった。
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春山さつき(プロフ) - おりうさん» めちゃめちゃかっこいいです。 (2017年6月1日 8時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - 春山、格好いいですよね(о´∀`о) (2017年5月31日 22時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年5月31日 9時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
おりう - この先の展開が楽しみです(^w^)頑張って下さい! (2017年5月30日 21時) (レス) id: 2d09c476d9 (このIDを非表示/違反報告)
春山さつき(プロフ) - おりうさん» 全くもって同意です。共感してもらえると嬉しいです。 (2017年5月29日 17時) (レス) id: a63d899ffa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春山さつき | 作成日時:2017年5月15日 11時