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ut「うぇ、やっぱこの目眩みたいなん慣れへんわ…」
rbr「安心せい、俺もや。」
sha「…」
1人早めに目眩から立ち直った俺は結婚式場を眺める。服装は黒いスーツ。どう見ても新郎側の衣装ではない。
わんちゃんないかなって、思ってたけど。
sha「そんな上手いこといかへんよな。」
ボソッと呟いて式場の中へ向かった。
白を基調としたそのチャペル。ヤケに固い長椅子の脇には聖歌の歌詞カードが置いてある。こんなんガチで歌うやつ居るんか?
前来た時には取る気にもならんかったそれを気まぐれに取って椅子に座る。後から着いてきた大先生、ロボロも同じ椅子に座った。
ut「なに?緊張してるん?」
sha「うっせ。まぁ、ちょっとはな。」
rbr「カメラまわしとくから遠慮せず行ってな!」
なんでこいつら遠足気分やねん…こちとらガチガチに緊張しとるわ!
参列者が続々と揃ってきたチャペル内はガヤガヤと騒がしい雰囲気に包まれる。
ふと、こいつらはAとあの名前も知らん旦那の結婚を祝福してるのか、と考えた。
そう、なんやろな。俺ら以外の事情を知らへん奴らや旦那側の人間はこの結婚を喜んでいるんだろう。
そんな式を、たとえAの幸せを願った行動だとしても、ぶち壊してええんか…?
自分が分からなくなる。今まであいつの為に色々して来たはずなのに、ここでAを旦那から奪い取って見せればあいつは幸せになれると思っていたのに。
そもそもあいつはそんな事を望んでんのか…?
助けてとは言われたものの、あれは結婚後の話。今はこの結婚を喜んでいるとしたら?
そうだとしたら、俺がしようとしている行動は悪になる。
sha「どうしたらええねん…!」
ここで動くか、動かないか。
その2つで揺れ動く俺の心とは裏腹に式の準備は整っていく。
rbr「シャオロン、来るで!」
は?もうそんな時間なんか?まだ…
「新郎新婦、ご入場です。」
神父のアナウンスから1拍あいて、新郎が入ってくる。あんな顔してたんやな。前の時よりもしっかりと顔が見られたのはこれまでの経験のお陰か。
そして、扉が開いて見えたのはベールをかけたままのA。
あぁ、やっぱお前、綺麗やな。
旦那に対する憎しみも、不甲斐ない俺への苛立ちも無く、素直にそう思った。
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紗音(プロフ) - 椿さん» 泣かないでください!?読んで下さってありがとうございます! (2020年8月17日 23時) (レス) id: 49310bd778 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - ね"ぇ、い"ま"か"ら"な"く"よ"((号泣 (2020年8月17日 22時) (レス) id: 37e6844d54 (このIDを非表示/違反報告)
紗音(プロフ) - 桜花さん» お待たせしました…!ありがとうございます〜!!頑張って次早めに出しますね!! (2020年6月1日 18時) (レス) id: 49310bd778 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 紗音さん» 完結おめでとうございます〜!!めっちゃかっこよかった...!!最高でした!!次作も楽しみに待ってますね!! (2020年6月1日 16時) (レス) id: 5ecfd5bd4f (このIDを非表示/違反報告)
紗音(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます…!早めに次出せるように頑張りますね!! (2020年6月1日 10時) (レス) id: 49310bd778 (このIDを非表示/違反報告)
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