水平線上の尾びれ ページ7
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「あ! ラギーくん!」
「Aくんじゃないッスか。どうしたんスか?」
「あ、ううん。特に用はないの」
シシシ、と歯を見せて笑うのはAと同じ学年のラギー・ブッチだ。
彼とは一年生の頃 同じクラスだったということもあり、今でも親交は続いている。
Aがラギーに特別 懐いているということもあるが。
「てか、オレと話してていいんスか? さっきから後ろのフロイドくんが怖いんスけど」
「あ、ごめんね。こらフロイド。ラギーくんが怖がってるでしょ」
振り向いたAが頬を膨らませ、コツリと小さく胸を小突いてやると、フロイドは分かりやすく機嫌を悪くした。
廊下から中庭の方まで入っていき、ゴロリと気の根元に寝っ転がって瞼を閉じてしまった。−−−拗ねた。
「過保護な護衛がいるとAくんも大変ッスね。好きなこと出来ないんじゃないスか?」
「うーん。そう思ったことはないけどなぁ。まあ過保護ではあるよね」
「こうやって話してるだけで、どっかから魔法で狙われてるんじゃないかってヒヤヒヤするッスよ」
「ふふ、そんなわけな・・・」
獣の耳がピクリと動き、アッシュグレーの髪は風に靡く。
何やら不穏な視線を感じた二人は同時に振り向き、校舎の二階に位置する渡り廊下に目をやった。
いたのだ。
そこにはこちらを見下ろし、マジカルペンを握りしめるオクタヴィネル寮長が。
「三人の中で一番 厄介なのは、あの人だと思うッス」
「あは、あはは・・・。実は私もちょっと困ってるかなぁ」
Aは同じようにマジカルペンを取り出し、「威嚇をやめなさい」という意を込めてそよ風程度の風魔法を発動させた。
すると彼は一瞬こちらを睨みつけたかと思うと、スタスタとどこかへ行ってしまった。
「うわあ、寮に帰ったらお説教かなぁ」
「・・・それってAくんを縛ってるだけじゃないッスか」
「うん。まあ私は反抗するんだけどね」
眉を下げて笑うと、いつの間にか戻ってきていたフロイドが背後からAを抱きしめ、頭の上に顎を置いた。
「ねぇもういい〜? オレ退屈なんだけど」
「ごめんごめん。じゃあまたねラギーくん!」
軽く手を振ってから背中を向けるAの少し後ろ歩くフロイドは、首だけ後ろを向いて「ダメだかんね?」と笑った。
「こりゃぁ、まず周りから攻略ッスね」
ラギーの頬を、冷や汗が伝った。
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蒼空(プロフ) - あ、バレました??ww (2020年10月5日 0時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん? あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・! (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2020年9月15日 18時