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深海に閉じ込めた想い ページ4

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「にゃあ」

「・・・」





中庭の木の上で、トレインの大事な猫のルチウスが丸まっている。



降りられなくなってしまったらしいルチウスを救けるためには、早い話 飛行術を活用してしまえばいいのだが、生憎Aは飛行術がてんで苦手だ。



先程から対話を試みてはいるものの、動物言語学も苦手な彼女の気持ちはルチウスに届いていない。





「フロイド・・・」

「もうほっとけばぁ? そのうちトレインが探しにくるでしょ」

「でも可哀想だよ。何とかできない?」





制服の裾をつかみ、上目遣いで小首を傾げられて、「いいえ、できません」と答える男はいないだろう。



フロイドはため息をつき、マジカルペンをポケットから取り出した。





「えっ! 何する気?」

「風の魔法 当てたら落っこちてくるんじゃね?」

「ルチウスが怪我する! ていうか、フロイドは私たちの中じゃ飛行術できる方じゃん!」





ポコポコと全く痛くないパンチを何度も胸にくらいながらら、フロイドはどうしたものかと空を仰いだ。





「(かわい、絞め殺したい・・・)」





そんな物騒なことを考えているとは知らないAは、いい方法を思いついたらしく、「そうだ!」とキラキラした笑顔を見せた。





「肩車」

「はァ?」

「そしたらルチウスに届く! ほらしゃがんで!」

「ちょ、ま」





半ば強引に屈められたフロイドの肩にAは遠慮なしに体重を預けた。



何を言っても無駄だと数秒で理解したフロイドは、僅か数ミリの理性の糸をなんとか保ちながら立ち上がった。





「よしよし、いい子。はい、捕まえた」

「もういいの〜? 降ろすよ」





肩から下りたAがふわふわの頭を優しく撫でると、ルチウスは「オ゛ァァァ〜」ととても猫とは思えない声を上げて学園内へと消えていった。



その後ろ姿に手を振るAの腕には、紅が一筋 伝っていた。





「A」

「ん? あ、捕まえた時に引っ掻かれたのかな。そんなに痛くないけどね」





ぽたり。紅が草に色をつけていく。



ただそれだけの光景に、フロイドは何とも言えない感覚を覚え、それを必死に押さえ込んで平静を装った。





「保健室 行くよ」

「え、こんなの放っておけば治ると思う」

「傷 見つかったらアズールに何言われるか知んねーよ?」

「ホケンシツイキマス」





どこかでタコがくしゅんと小さくくしゃみをした。





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蒼空(プロフ) - あ、バレました??ww (2020年10月5日 0時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 蒼空さん» ありがとうござ・・・ん? あなた、もしやここに来るのは二度目ですな・・・! (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - うるさん» 大変嬉しいお言葉ありがとうございます。最近ちょっと更新停滞気味だったのですが、お陰様で頑張れそうです。 (2020年10月2日 21時) (レス) id: 46b7785a4c (このIDを非表示/違反報告)
蒼空(プロフ) - あ…しゅきぃ…(語彙力皆無) (2020年10月2日 20時) (レス) id: babd69b29c (このIDを非表示/違反報告)
うる - この作品がすごく好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年10月2日 8時) (レス) id: 73336d6f0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユナ | 作成日時:2020年9月15日 18時

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