女王の朔望月 (ページ8)

今日:43 hit、昨日:26 hit、合計:108,019 hit

6 ページ8

・

眩しすぎる光に目を擦り、
少し痛む身体を起こしてベットから出る

大きく伸びをして息を吸い込んだ時、横から“おはようさん〜”なんて呑気な声が聞こえた

｢……居たんですね。佐賀美先生｣

｢まぁな〜｣

“おっさんこれでも保健室の先生だから”と付け加えるが、なら最初からいるべきでは？と思ってしまう

そんな疑問は露知らず。口を開いた先生は憎まれ口を叩き始める始末

｢初日から派手にやったなぁ｣

｢不可抗力です！｣

文句は私じゃなく、私をなぎ倒した銀髪の彼に言って下さい！！！
、とは言わないが、今日は明らかに私のせいではない。
巻き込まれただけ。そう不可抗力。

必死に喚く私を“ハイハイ”と適当に宥める先生に段々と苛立ちが募っていく

｢(…もういい)｣

諦めて“お邪魔しました”と残して保健室を去ろうとした時、ふいに“転校生”と呼び止められる

｢……氷鷹にあれこれ吹き込まれたかも知れないが、決めるのはお前自身だ。そこを忘れるなよ｣

｢もちろんです｣

一応心配してくているのだろう佐賀美先生の言葉に即答する

情けではない。自分の意思で彼らに付くと決めたのだ。
迷いも躊躇いも無い

｢あぁ〜…ま、頑張れよ｣

｢はい｣

後ろを振り返らず、扉に手をかける

｢……柊がいてくれればな、｣

＿＿保健室を出る前に最後に聞こえたのはそんな先生の呟きだった

｢(…柊って誰だろう)｣

クラスに戻るために廊下を歩きながら考える。
苗字か名前か。どっちもありそう

今日が転校初日なためろくにクラスの人の名前も覚えていないし、A組の隣にはB組もあり、1年生も3年生もいる。

1人で探し出すにはかなり時間がかかる

けど佐賀美先生が思わず口にしてしまうなら相当なキーパーソンに違いない。

彼らの革命の手助けとなるなら彼らに聞いてみるのもありか、……と言うかそれが1番早い。

｢(…よし、そうしよ)｣

1人自問自答を繰り返し、朝より軽い足取りで教室へ戻ろうしてふと我に返る

……ここはどこだろう。

焦る脳内で色々考えてみるが分からない

それもそのはず。
転校初日で右も左も分からない校舎を1人で彷徨いたのだ。
わかる方がおかしい

…やってしまった。

｢(氷鷹くんに電話する？いや今会うのは気まずい…？)｣

目まぐるしく回る頭を抱えこんで、へなへなと床に屈んだ時、

＿＿〜♪

優しい音に鼓膜が揺れる

＿＿＿＿これは、

｢ピアノ？｣