女王の朔望月 (ページ16)

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＿＿23時

｢あ“〜……｣

疲れきった身体を布団に沈めて今日の出来事を思い返す。

昨日の疲れが癒えないまま登校し、双子に連れ去られて遊ばれ、挙句あんな物まで見てしまった

｢(……酷かったなぁ)｣

朔間先輩の勧めで足を運んだA1は悲惨なものだった。

講堂に集まった生徒達は生徒会派閥のユニットのパフォーマンスが終わるや否や揃って会場を後にした。

結局明星くんの後輩が所属するユニットのパフォーマンスを見届けたのは私と明星くんだけ。

｢(氷鷹くんが言ってたシステムはあれ、か……)｣

勝ったユニットを評価していた者は認められ、そうでない者は否定される。

つまり勝利の可能性が低い者ははなから観客に相手にされない。
そうやって悪循環が生まれることで生徒会はどんどん権力を拡大していく

本当によく出来たシステムだ

｢(……とりあえず明日に備えて寝よう)｣

転校早々学院の闇に両足を突っ込んで心も身体も困憊してる。明日から気合いを入れ直すためにも今日は早く休みのが堅実だろう

そう思って瞼を閉じた瞬間だった。

｢＿＿＿＿＿っあ！！！｣

自分の犯した失態に脳が大覚醒を果たす

｢(……やばい忘れてた)｣

＿＿＿＿＿柊さんの事聞いてない、

忙しかったからと言い訳したいが、S1までの残り期間的に逃した1日は大きい。

そもそも私がちゃんと柊さんの事を聞けていたらわざわざ朔間先輩の手間を取らせる必要もなかったのでは？

……あぁぁぁやっちゃった、

なんて、後悔先に立たず。

朔間先輩と言う指導者は見つかったけど味方が多いに越した事はない。

｢(……明日こそ絶対に聞こ)｣

私自身が忘れないように
そして明日何が起こっても話せる時間を確保できるように

充電していたスマホを1度抜き、連絡アプリから“氷鷹北斗”の名前を探し出してメッセージを送る。

【聞きたい事があるんだけどお昼休み時間取れる？】

こんなありふれたメッセージが未来を大きく変えるとも知らず

私はゆっくりと眠りに落ちた