まごつきの森【d】

7.お説教 ページ7

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｢……なんで逃げたんや｣


怖い


怒りをぶつけるような震えた声


顔が見えない分、余計に恐怖が倍増する



動けない、金縛りに近い感覚に支配される


｢おい…なんで黙っとるん？｣

｢……｣


固まっているうちに、ゾムさんはロボロさんの横を素通りしてどこかへ行ってしまった


逃げ場なんてない


…いや、むしろ今逃げたら確実に殺される



もう、現状はどうすることもできない


｢…ニンゲンは利口や聞いたのに、留守番もできんとか｣


鈍い音が鳴り、壁に体を打ち付けられた


ロボロさんの手は、そのまま私の首を掴む



｢ぅ…ろぼ……｣

｢なんや、いっそ俺の手で殺したろか？｣


ギリ、と絞める力が更に強まった


徐々に吸える空気も限られてくる


…苦しい


｢俺はただ、Aを守りたいだけなんや…｣


言葉とは真逆の行動をとるロボロさん


このままだと本当に命が…





｢そこまで｣

｢っつめだぁﾞ！？｣


刹那、予想外の出来事が起こった


戻ってきたゾムさんが、なんとロボロさんに水をぶっかけたのだ


不意の出来事に驚いたのか、ロボロさんは静かになった



苦しさからは解放されたが、今度は大量の酸素に襲われる


地面に蹲い咳き込む私を見て、ゾムさんは申し訳なさそうに口を開く


｢すまんA…コイツ自分のお気に入りが失くなると取り乱してしまうんよ｣



"もう逃げるなよ"


遠回しにそう言われているような気がした


｢ぞむぅ……何してくれとんねん｣


びしょびしょになって完全に正気を取り戻したのか、ロボロさんの雰囲気は完全に元に戻っていた

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