16.不器用な優しさ ページ16
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……空気が不味い
遡ること数分、流石にあの料理は食べられないということで、シャオロンさんに晩御飯を探しに行ってもらうことになった
幸いこの近くにブルーベリーの木があるらしく、回収するのに時間は掛からないとのこと
しかし、彼が帰ってくるまで私はコネシマさんと二人きり
お腹を壊す心配は無くなったが、そのせいで胃痛に悩まされることになるとは…
…先程からこちらをガン見されている
「A……成る程」
不意にコネシマさんの口が動いた
が、特に続くことはない
再度訪れる沈黙
「…シャオロンは元々、お前と同じニンゲン界におった所謂"飼い犬"やねん」
「?!」
突然、衝撃のカミングアウトをされて耳を疑った
「当人は忘れたらしいけど、俺は此処へ来たばかりのあいつを知っとるんや。ニンゲンの匂いを嫌なほど身に纏った頃のあいつは、今のお前とそっくりやった」
そっくり?
彼と私、犬と人間の共通点……
首を捻る私を無視して、コネシマさんは話を続ける
「…勝手に屋敷に住み着いてたあいつは、必死に何かを探してる様子やった。昼間に出かけて、夜になったら帰ってくる。寝床を借りてる分際で堂々と寝やがるから追い出すか何度も悩んでん」
図々しい態度なのは昔からやな、と目を細めるコネシマさん
他の魔物より縄張り意識が低いのは、飼い犬だったことが関係しているのかもしれない
「あいつにも素質があったみたいで、気づいたらヒト型になっててん。開口一番"飼い主を返せ"とかほざくから……こいつは
「狭間の森…?」
聞いたことのないワードが出た
思わずオウム返しをして、彼の方へ一歩踏みよる
「……黙るわ。どうせ意味ないし」
…ものすごく気になる
何故今のシャオロンさんは現世の記憶がないのか、狭間の森とは一体何なのか……
もう少し話してくれないかと視線で訴えるが、コネシマさんは完全に黙ってしまった
「…ほら、はよ出て行け」
「いたっ」
雑に放り投げられたのは弓と矢
本当に逃してくれるのか
どうやら、野晒しにして見殺す気まではないらしい
…下手に隠されているが、コネシマさんは根が優しい
礼を言って、玄関へ向かう
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「じゃあな、シャオロンの…」
「おい!何逃げようとしてんねん」
外へ一歩踏み出した瞬間、コネシマさんの声をかき消して前方からシャオロンさんの大きな声が聞こえてきた
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へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます!不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします!! (2022年7月27日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます!応援とても励みになります!! (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです(?) 更新頑張ってください!!! めっちゃ応援してます!!!! (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます!ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:へる | 作成日時:2022年6月24日 0時