勿忘草の丘 ２.【オリジナル長編物語】

80話 予定変更なので休息を ページ35

【雷華 視点】



午後５時前、私はAの家を出て皆と別れた。今ちょうど、百合亜の家の扉を開ける所。

なんか聞こえるけど…… いつもの事だよな。

そう思って、勢いよくドアを開ける。次の瞬間、目の前に飛び込んだのは紫の本だった。



「いてっ」

「扉を開ける時は静かにって、いつも言ってるでしょ？」

「た、ただいま」



百合亜の大事な本で、ポテッと頭を叩かれてしまった。扉を開ける音がうるさいのは、ごめん。

呆れ顔の百合亜に連れられて、リビングに向かう。ぬいぐるみのそばの丸椅子に澪がひとりだけ

でちょこんと座っていた。紗羅達は何処に行ったんだろう。

あ、その前に。世羅が一矢の家に行ったことを伝えなくちゃいけない。



「世羅が一矢の家に居座ることになった、以上！」

「こら！」

「うおっ、紗羅じゃねぇか」

「話が簡潔すぎるでしょ、何のために行ったのか詳しく伝えなきゃ」

「まじかー」



もう一度説明し直そうと悪戦苦闘したわけで、疲れ切った私が自室まで辿り着くまでには結構な

時間がかかった。

この間からまた、百合亜達の仕事が忙しくなってきている。A達の荒澤町の事もあるし、の

んびりしてはいられない。最近、怪しい"何か"が出てきているそうで、私達と共にこの街の政治

を行う人が魔法使いを増やすついでに依頼をしてきた。

この間までは、アレン以外は本当なら町の調査だけだったのだが、偶然魔法使いの素質みたいな

ものがあるもうひとりの子供を見つけたわけで、世羅がその仕事を両立する事になったのだ。

その子供が、一矢だった訳。

そして、それに澪が追加。彼女は知里花辺りが面倒を見ることになって、人手は激減。

なんだかなぁ…… 今日はロックもいないから仕事が忙しいしさ。

どっと疲れが出てきて、私はベッドにダイブした。



柔らかい羽毛布団に包まれ、それと同時に耳の奥から流れてくる、心地よい波音。懐かしい感覚

に心を動かされて、私はゆっくりと瞼を開いた。

おぼろげな景色に浮かぶのは、晴天の空の真下に広がる碧い海。寄せては返す、その繰り返しは

永遠の様に感じられ、いつまでも眺めていたいような感覚に襲われる。でも、そんな事をしてい

ては夢の続きを見られない。見覚えのある穏やかな海から宝物を探し出す為に、今よりもだいぶ

小さくなった頭身で浜辺を見渡す。

そこに立っていたのは、誰＿＿＿＿＿＿？



それを思い出しかけた時、丁度ベッドから転がり落ちた。

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ラッキーカラー

あずきいろ

キャラの最近つぶやき【２.】編

雷華 「最近暇すぎて百合亜の人形で寅と遊びだす夕食後の自由時間。」

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