勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

132話 ロング黒緑もやし復活 ページ42

自己紹介が終わり、一部の人達で軍議が始まった。

取り残された私達中学生組は、光影双子と共に遊ぼうと思っていた。

それを遮ったのが、日之影家一の巨人であるロックさんだ。ちなみに、日之影家一の細もやしは

世羅だ。日之影家は全体的に痩せているのだが、世羅が一番細いのだ。

ロックさんの夏の私服は袖を捲った襟付き緑シャツ。ズボンは真っ黒で、あの小道を歩いた時は

マッシュボブの髪型にカンカン帽着用。日焼けした小麦色の腕が眩しい。

そして日焼けしていない白い鎖骨と黒いインナーが色っぺぇ。

春と私服が変わらない世羅が、「ロング黒緑もやし復活」と言った。

一方のロックさんは完全にぼーっとしている。すでに聴く気がない様子。



「今から仕事内容を説明するけど、いいかな？」



口元を緩め、落ち着いた表情で私達を見るロックさん。この人もまた、たれ目タイプである。

ロックさんの地味に長めだけど分かりやすい説明によると、先程自己紹介していた３人は今回の

仕事の依頼人及び協力者なのだ。

百合亜さんの家の裏の雪山の、向こう側(ヒース町)の麓にある洞窟付近で、何やらいつもと違う

ことが起こっているらしい。

１年前、３度目の"ヴァイス"の襲来前に光影双子がお世話になったそうだが、その時も黒い塊の

ような生き物が暴れていたのだ。また同じような事が起こったのではないかと言う。

仕事を依頼した訳はこんな感じだ。



次に、調査内容と分担について。

私達は現在１６人。３つに分かれて、それぞれの場所を調べていく。

調査内容は、そこの植物等に異常はないか、"奴"の軍の魔物は湧いていないかだ。

私が調べるのは、危険な洞窟の中ではなく、その周辺に広がる林。ヒース町にはほとんど植物が

無いが、雪山の麓には闇に包まれた林が残っているのだ。

漆黒の闇に閉ざされた古の洞窟。いかにも知里花さんが反応しそうな場所だ。

洞窟の上にある岩山を調べるのは、山登りや岩場が得意な人達。雷華さんやエルさん、ロックさ

んがこれに相当する。勇助や澪も山登りは得意だという。多分このメンバーで行くんだろう。

本題の洞窟内はやっぱり強い人。しかし、それだけでかたまると他の班と強さに差が出る。

なので、強い人や土地勘のある人は一人一人バラバラに。

全体的なメンバー編成はまだきいていないが、洞窟周辺は洞窟の中よりも安全なので、中学生組

はその辺にかたまることが予想される。

バランスの良いメンツであってほしい。

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