勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

114話 本当の家族 ページ24

学校の帰り道、私は叔母さんとばったり出くわしてしまった。

勿論一矢も一緒にいたので、とある勘違いを起こしかねないという訳だ。

その勘違いというのは、自分の姪の恋愛事情の事。

叔母さんの表情を見るかぎり、多分予想は当たっている。手で覆われた口元も、口先が若干上が

っているのでにやけているのが分かる。それに目を見れば分かるぞ。

何を妄想していらっしゃるのかなんて知らないが、私と一矢は付き合っていない。



「直美叔母さん、俺達"まだ"付き合ってないよ……？」



そう、まだ付き合っていないだけ。一矢はそう言っている。

私だってそうだ。"まだ"という形容動詞がついているのは疑問だが、一矢の言い分は正しい。

それを聞いた叔母さんは、少しだけしゅんとしながら私達の方を見た。

しかし、一矢が"まだ"という形容動詞を付け足したせいで引き下がらない。

叔母さんの闘志はまだ燃え尽きぬ様子。本当に彼氏を作らなければいけないのはそっちなのに。

叔母さんは他にも話したい事があるようで、後であっちの世界の関係者は全員繫木家に集合する

ように伝えてほしいと頼まれた。

……そして今、日之影家とクラーレさんが我が家に集合している。

叔母さんが深刻そうな表情で私に話しかけるもんだから、こっちも心配してしまった。



「Aちゃん達にも話さないといけない日が来たから、驚かないで聴いてね」

「えっと、話さないといけない事って何？」

「Aちゃんの両親の事なんだけどね……」



叔母さんから初めて明かされた、私の家族の秘密。

私の両親が誰で、どんな人だったのか。

叔母さんの話をまとめた結果、複雑な形になってしまった。

紗羅と話をした時みたいに簡単にまとめると、こんな感じ。



一、繫木家は日之影家の街に住む魔法使いの一家ということ。

二、そして繫木家は"ヴァイス"の１回目の襲来でほぼ全滅したこと。

三、私と叔母さんはその時生き残った繫木家の人ということ。

四、まだ幼かった私の魔力を叔母さんが封印したこと。

五、クラーレさんが私の母親だということ。

六、アレンが私の魔力を元に戻した話は、事前に百合亜さんからきいていたこと。



唐突にこの様な六つの事を言われてしまい、私は混乱している。

私の親父は"ヴァイス"の襲来で他界、叔母さんと私は繫木家の生き残り。

叔母さんは、私が魔法使いになったら話そうとしていたらしい。

………で、クラーレさんは、私の本当の母親！？

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