勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

104話 見た目年齢と実年齢 ページ14

この前紗羅に教えてもらった知識を絞り出す。

桜さんといえば、今の日之影家の１代前の魔法使いだ。

そして、人間と魔法使いのハーフである百合亜さんと知里花さんの母親でもある。

ここまでがこの間紗羅に聞いた桜さんについての知識。



「それから桜は満さんと結婚してね〜。……今生きてたら、３５以上はいってるかしら」




ご機嫌で友人の自慢をするクラーレさんから、いくつか情報を仕入れた。

クラーレさんは桜さんの友達で、医者の両親に連れられて百合亜さん達が住む街の人々の診療に

行くたびによく遊んでいたという。

クラーレさんと年の近い百合亜さんのお母さんが、今はもう生きていないという事に切なさを感

じたが、それ以上にクラーレさんが３０代後半に差し掛かっていた事に驚きだった。

本当にあの人が３０代なのだろうかと、私はクラーレさんの顔をまじまじと見つめる。

確かに、よーく見てみるとほうれい線が見えるような、見えないような……



あー。

なんという美貌ですか。貴方魔女サンですか。あ、元から医学の魔女サンですわ。

叔母さんよりちょっと年上じゃありませんか。

私、これから叔母さんをどう励ましていけばいいの。

若さはどうにもならないから…… 編み物とか？

あぁー。



謎のショックを受けていた私のもとに、元凶のクラーレさんが歩み寄ってくる。

色っぽいとはいえ、クラーレさんに対して苦手意識は持っていなかった。

逆に、優しくておしとやかで、思わず甘えたくなるような雰囲気を漂わせるこの人は、表ではな

んだかんだひとりでいたいと望む私にとって、惑わされそうになる様な何か……

私が嫌ったはずの"大人"という存在を、自然と受け入れさせてしまう。

何処か懐かしいその薬の正体は、未熟な私にはまだ分からない。



「あ、そうだわ。世羅くんの怪我が治ったら、みんなと一緒に行きたい所があるの」

「……もしかして、湖付近の城に行くんですか？」

「あの魔物だらけの城跡？ ふふ、そんな危ない所には行かないわよ〜。街でちょっと買い物して

から百合亜ちゃん達の所に行くだけ」

「それならよかったです。ふぅ」



もうあの危険な城は行ったりしないのだと安堵していると、治療が終わった世羅が帰って来た。

兄が帰って来たと一番に気づいたにゃんこ寅が、愛する兄の足元に擦り寄る。

その姿と言ったらもう本当に可愛い。特に猫派の私にとっては。

家を出る前に数分だけ癒された私達だった。

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ラッキーカラー

あずきいろ

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