勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

91話 少女の追憶 ページ1

あの後、紗羅はすぐに回復。

そして、学校にいる間は彼女をルシアと呼ぶ約束をした。

今は給食中。枝豆コロッケにごぼうサラダが襲いかかる。

私達３班は、秘密の班。異世界の姿を知る、魔法の班。

だから紗羅は安心しながら、自分の過去を話してくれた。

それは、所々抜けた部分もあったけど、とても壮絶なものだった。



過去に３度、昨日の様な事件があったらしい。世界を自分が支配するというありきたりな野望を

叶えるのに邪魔な魔法使いが集まるこの街を、"ヴァイス"が襲ったと。

突然の無差別攻撃に、人々はパニックに陥った。今まで争いが無かった街だからこそ、特に。

それは、襲来を２度目から経験した紗羅と世羅も同じだったという。

目の前で友達が死んだはずの世羅だけは、何故か冷静だったが。

深い事は教えてもらえなかったが、世羅は血などが平気で、友達が死んだのはショックだったも

のの立ち竦んで動けなくなる事は無かったらしい。すぐさま友達のもとに駆け寄り、魔物に反撃

したそうだ。

彼にだって人間らしい感情もあるのだが、何処か冷めている。

敵ならば殺すとキッパリしていて、それに関しての抵抗が無い。

「生まれつきだよ」と紗羅は言う。



３度目の襲来、今度は山の魔物の退治中に"奴"が街に現れたが、苦戦の末無事勝利した。

亡くなった人々の仇を討つため、"ヴァイス"に対する敵対心は大きかったそうな。

"ヴァイス"が残した爪痕も未だに残っている。人々の心にも、自然にも。

"奴"を倒した後の事。１度目の襲来の数ヶ月後に何者かに連れ去られた後、呪いが消えたロック

さんは、数年振りに幼馴染達との再会を果たしたという。

そして、そんな"奴"が憑いていた人の体が、百合亜さんの父である満さんの亡骸だったのだ。

そんな事があってもなお、街の人々は諦めずに復興した。



「簡単に言えばそんな所です」

「た、大変だったんだな」

「待って、それだとおかしい。"奴"が２回目の襲来で死んだなら、昨日の事はありえない」

「じゃあ、また復活したって事？」

「そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません」



"奴"がまた復活したかもしれない、か。

少なくとも私と一矢は気をつけないと。"奴"が何処で私達を狙ってるか分からないし。

一矢の方は世羅が留守だから、私が守ってあげないといけないだろう。

私はそう言ったけど、紗羅は大丈夫だって言う。今の所、霊は世界を越えられないって。

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ラッキーカラー

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